宅ふぁいる便にてコラム連載第三回目が掲載されました
今回は夏のネタ「イタリアの夏のお酒事情&アモーレ 」
「宅ふぁいる便」の「SAKEto(酒と)」というコーナーにて「イタリア発、美食通信」というタイトルで書いていますが、今回はイタリアの夏のお酒事情と当ブログでもご紹介した「アモーレ」について書いています。イタリアを訪れたことがある人ならきっと見たことがある「イタリア人たちがみんな飲んでいる、あのオレンジ色のカクテル」についてもご紹介しています。
宅ふぁいる便コラムVol.3 by小林真子
“Ciao Amore!” 「チャオ、アモーレ!」
いろんなところから流行というのは生まれるのですね。なんでも日本では、「アモーレ」というイタリア語が大ブームになっているとか。イタリアのサッカーリーグ・セリエAのインテル・ミラノで活躍する長友佑都選手が、女優・平愛梨さんについて「僕のアモーレですね。」と交際宣言をしたために「アモーレ」がたちまち日本中で使われるようになったそうですが、早くも流行語大賞の呼び声も高いとのこと。今年はちょうど、イタリアと日本の国交150年の記念年なだけに、「アモーレ」が流行語大賞になれば何ともタイムリー!
「アモーレ」という意味ですが、直訳すればLOVE(愛)なので、この意味だけをとって「恋人」に対してのみ使われると勘違いしがちですが、イタリアで「アモーレ」はもっと広域に使われます。もちろん恋人にも使いますが、大切な人や親しい相手、さらには見知らぬお客さんに対しての呼びかけでも使われます。
子供はみんな「アモーレ」、身内の子供も見知らぬ子供もみんな「アモーレ」と呼びかけます。誰かれ構わず「アモーレ」と呼びまくるのは、比較的ご年配の方や田舎出身者に多い傾向に見受けられますが、イタリアに住んでいると、どこかしこでいつも「アモーレ」という言葉が耳に入ってきます。前述した通り、名前がわからない相手にも使えるので、路上でもお店でもしょっちゅう「アモーレ」が飛び交っているのです。
「アモーレ」は人相手だけではありません。友達と待ち合わせた際に、「今日はアモーレを連れて行くよ」と言われて、犬がついて来たこともあります(笑)大切なペットにも「アモーレ」は使えるのですが、そもそも日本でも犬や猫を「愛犬」「愛猫」などと言いますし、この辺りの感覚はイタリア語と通じるものがあります。これから日本では犬や猫に「アモーレ」と名付けることがブームになるかもしれませんね。
もともとイタリアの国は世界中で「アモーレ(愛)の国」というイメージがあり、今回の長友選手の発言でいっそうそのイメージが高まったように思いますが、だからといって、そのつもりでイタリアに来ると、あちこちでイタリア人から「チャオ、アモーレ!」と声をかけられ「うわあ~本当にイタリアって愛の国。こんなにモテてどうしよう~」と大きな勘違いをしてしまいますのでご注意くださいませ・・・。
アモーレがあふれているイタリアは、美味しいお酒があふれている国でもあります。これから夏に向けますます日が長くなり、夜9時頃まで明るいため、オープンエアーでお酒を飲むのが定番スタイルになります。夏季限定営業のBARやレストランが川沿いや広場に続々とオープン、涼しい夜風に当たりながら美しい街並みを眺めながら頂くワインやビール、カクテルは格別です。レストランにテラス席がある場合、店内よりテラス席が人気でテラス席から席が埋まっていきます。
イタリアの夏は日本ほど湿度が高くありませんが、強烈な日差しが照りつけとても暑くなります。特に昨年は記録的な猛暑で、フィレンツェでも40度近くまで気温が上がり、まるでアフリカにでもいるかのようでした。そんな暑い夏は、赤ワインの出番もいつもより減り、やはりシュワシュワっと弾ける泡が爽やかなスプマンテやプロセッコといった発泡性ワインや、冷えた白ワインが人気になり、ディナーやホームパーティでも「まずは食前酒にスプマンテやプロセッコで乾杯」というのがよくあるパターンになります。
またオープンエアーのバーでは、ビールやカクテルも人気です。イタリアを旅行すると必ず目にとまるのが「オレンジ色のカクテル」。私も最初にイタリアに来た時は、オープンバーでは必ず誰かしらが「オレンジ色のカクテル」を飲んでいるのを目にして、「あのお酒は何だろうか?」と思っていました。
イタリアでは最もポピュラーなカクテルなのですが、意外に日本では有名ではありません。「Spritz」(スプリッツ)という名前のカクテルで、Aperol(アペロール)というイタリアのリキュール、プロセッコ、ソーダ水を混ぜて作ります。
甘いリキュールですが、プロセッコで割っているので甘すぎず、癖が無く飲みやすいカクテルで、男女問わず人気があります。ちなみに日本ではポピュラーな「モスコミュール」ですが、先日イタリア人の友人から「見てみて!これ新しいカクテル。モスコミュールっていうの~」と言われたことには驚きました。日本ではずいぶん昔から有名だと伝えると逆にイタリア人から驚かれる始末。
ですから、日本で有名でもイタリアではいまいち知名度の無いカクテルもありますので、イタリアで何かカクテルを飲んでみたいと思う方がいらっしゃいましたら、イタリアの超定番カクテル「スプリッツ」をお勧めします。イタリア語のメニューが読めなくてもスプリッツならどこにでもあるので確実に注文できます。時々「スピリッツ」と間違う方がいますが、「スプリッツ」ですのでお間違えの無いように。日本でもアペロールが手に入りますので、お手持ちのスパークリングワインで割って「スプリッツ」お試しになってみてはいかがでしょうか。最後にオレンジのスライスを一切れ入れて完成です。
イタリア人はビールもよく飲みます。MORETTI(モレッティ)PERONI(ペローニ)NASTRO AZURO(ナストロ・アズーロ)などのメジャーなイタリアビールのほか、近隣諸国から輸入される外国ビールも多く販売されています。イタリアでもフレーバー・ビールが増えてきて、モレッティにもレモン風味やオレンジ風味なども登場しました。また、フィレンツェには自家製ビールを提供するパブも増えています。ワインが苦手だからイタリアでは何を飲もう・・そんな方もご心配なく。イタリアはビールも美味しいですよ。また、イタリアのビールはお手頃価格のものも多いです。スーパーなどでは日本の発泡酒の価格(130円前後)で買える瓶ビールも沢山あります。
イタリアのビールはラベルがオシャレなものも多く、ついついパッケージ買いしたくなるほどで、ビンを捨てるのもためらわれるほど。日本では出張帰りに新幹線の中で缶ビールを飲むのが楽しみだったオッサンのような私でしたが、現在はイタリアでモレッティ・おしゃれバージョンのりんごフレーバーを飲みながら「イタリアみたいにオシャレなパッケージのビールだったら、ちょっとは女子っぽい気分に浸れたのになあ・・」などとボヤいております。
最後にイタリアでお酒にまつわる諺をひとつご紹介しましょう。
“Chi non beve in compagnia e’ un ladro o una spia”
「キ・ノン・ベヴェ・イン・コンパニーア・エ・ウン・ラードロ・オ・ウナ・スピア」
訳すと「仲間の中でお酒を飲まない人は泥棒かスパイだ」となります。文字通り、みんながお酒を飲んで楽しくワイワイしている中で素面を通すのは、そんな裏心があるヤツに違いないという意味で使われます。
お酒を飲む日が続き、「今日こそは休肝日にしよう」と思っていても、周りのイタリア人にこの諺を言われてしまったら・・これはもう飲むしかありませんね(笑)そうして今日もまた懲りずに飲んでしまうのでした。皆様も素敵な夏をお過ごしくださいませ、SALUTE!(サルーテ=乾杯!)
第一回連載の記事はこちらから→ → <イタリア発、美食通信」コラム連載がスタート!>
第二回連載の記事はこちらから→ → <イタリア発、美食通信」コラム第二回が掲載されました>
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