(Photo: Paolo Rosini)
日本はもうすぐゴールデンウィークですね。イタリアにはゴールデンウィークはありませんが、4月25日がAnniversario della Liberazione d’Italia(アニヴェルサリオ・デッラ・ディタリア=イタリア解放記念日)、5月1日がFesta del lavoro(フェスタ・デル・ラボーロ=メーデー)で、比較的祝日が続きます。
すっかり春の陽気でとても気持ちのよい過ごしやすい日が続いているここ最近のフィレンツェ。太陽が出ていたら出かけたくなるのがイタリア人、天気が良ければ週末によくバーベキューをします。幼い頃から慣れ親しんでいるせいか、イタリア人はバーベキューの達人なんですよ。
日本でもよくバーベキューを楽しみましたが(もっぱら食べる専門でしたが・・ 🙄 )イタリア流は日本流とはまた違います。今年のゴールデンウィークは趣向を変えて、イタリア流バーベキューに挑戦してみてはいかがでしょうか?バーベキュー幹事さん、「お、今年はちょっと違うね!」と仲間たちから一目置かれますよ!
イタリア流バーベキュー法則①
【飲み物はやっぱりワインがお決まり】
イタリアといえば・・やっぱりワイン!イタリア人からよく「日本人はSAKE(お酒)を一番飲むのか?」と聞かれますが、それ以上に日本人はビールやワイン、焼酎をよく飲むかと思います。しかし、イタリア人はイメージ通り、やっぱりワインを飲んでいます。バーベキューでもホームパーティーでもワインは欠かせません。上の写真のように、バーベキューもまずはワインをテーブルに用意することから始まります。
イタリア式バーベキューはたいてい大人数で開くので、ワインも豪快に大きなボトルのものや、パック入りの物が用意されます。また、個人がそれぞれ一本筒持ち寄ったりするので、普通サイズのボトルのワインも数種類揃います。「まずは乾杯のビール」ではなく「ワインでSALUTE(サルーテ=乾杯)」で始めるだけでイタリア流に様変わり。
イタリア流バーベキュー法則②
【バーベキューにも「前菜」は必須】
イタリア料理の基本は、Antipasto(前菜)、Primo Piatto(一皿目、パスタ料理など)、Secondo Piatto(二皿目、肉料理などメイン料理)、Dolce(デザート)で、一品づつ提供されます。イタリア式バーベキューでも、最初にAntipasto(前菜)が用意されます。
これはとても理に適っていて、これらの前菜はただ切るだけ、または並べるだけなのですぐに提供できます。プラスチックケースなどに入っているものは、きちんとケースから出してお皿に盛り付けましょう。食べやすいですし、オシャレ度が高まります。すぐ食べられる前菜とワインを楽しみながらバーベキューの準備をすれば、準備も楽しく進みます。
持ち運びができる携帯サイズのバーベキュー器具。
自宅の庭に本格的なバーベキュー所が備わっていることもあります。庭にこんな大きなバーベキュー所があるなんて、イタリア人がバーベキューをこよなく愛していることがよくわかります。
イタリア流バーベキュー法則③
【基本は肉、肉、肉。そしてお肉は豪快に大きな塊のままで!】
地方によって内容の違いはあるかもしれませんが、トスカーナ州のバーベキューではお肉が欠かせません。肉、肉、肉です。そして、日本の焼き肉のように細かく切ったお肉を少しづつ焼くのとは違い、豪快に大きなお肉の塊のまま焼くのがポイントです。味付けは塩・コショウのみ、またはローズマリーを加えるだけの究極シンプル。
お肉の種類は基本的に、サルシッチャ(ソーセージ)、豚のスペアリブ、そしてトスカーナならキアニーナ牛のビステッカ。
サルシッチャは丸々とした大きなタイプ、豚のスペアリブも大きなまま焼きます。ふたつとも炭火で焼くと外側がカリッカリ&中がジューシーになって美味しいので、人気のバーベキュー食材です。
サルシッチャは既に塩味がついているのを選ぶので、味付けはしません。10分程度で焼きあがります。
豚のスペアリブは、焼く前にローズマリーのみじん切り・塩・コショウをお肉に揉み込んでおきます。ここにニンニクのみじん切りを加えてもいいそうですので、それはお好みで。焼いている時に、オリーブオイルを時々お肉に塗ります。この豚のリブロースは一番時間がかかり、焼き上がるのに30~40分要します。
トスカーナ名物、キアニーナ牛のビステッカ、こちらはこの大きな塊のまま豪快に焼き上げます。こちらは塩の味付けのみ、または好みでコショウをかけるだけです。基本的には片面5分ずつ焼き、10分程度焼くだけ。
外は香ばしく焼けていますが、中はレア気味なのがBistecca Alla Fiorentina(ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ=フィレンツェ風Tボーンステーキ)。この焼き具合は、お肉を大きな塊のまま焼くからこそ実現できるそうです。
イタリア人からワンポントアドバイス①
「ビステッカはくれぐれも焼きすぎに注意すること。中がレアなのがポイントです。それと、焼きあがってからすぐに食べてください。焼いてから時間が経つと美味しくなくなります。」
ど~んと大きなお肉の塊が出てくるとインパクトがあり、豪華な印象になります。バーベキュー幹事さん、他の仲間たちから「おおお~!」という歓声を期待できますよ 😉 イタリア流バーベキューのお肉は、味付けがシンプルでお肉の品質で勝負が決まるので、お肉選びは重要ポイントです。
イタリア人からワンポイントアドバイス②
「お肉選びは慎重に。私たちは、ここぞという場合のお肉はスーパーではなく、顔なじみのお肉専門店、Macellaio(マチェッライオ)で買うことが多いです。専門店なので、バーベキュー用に欲しいと言えば、お勧めのお肉を提供してくれます。」
イタリア流バーベキュー法則その④
【手作りデザートがあればみんなハッピー】
イタリア流でお肉を焼くのは、日本流ほど焼いたり、取り出したりをこまめに繰り返す必要がないので、日本流よりはゆったりできます。しかし、そうはいっても、やはり肉奉行は何度もお肉チェックをする必要があります。そのため、調理の心配をせずにゆったり楽しめるデザートタイムは欠かせません。
このデザートは、栗の粉で作った、castagnaccio(カスタニャッチョ)というお菓子。甘さ控えめなので、甘いものが苦手な方にも食べられるお菓子だと思います。これは、料理好きの男性が自宅で作って持ってきてくれたものなのですが、こういう心憎いサービスができる男性は株が上がりますねー!「運びやすい。冷めても美味しい。人数が増えてもOK。」とバーベキューにぴったりのデザートを選ぶあたり、さすがバーベキュー上級者のイタリア人です。
こちらは、パイ生地にチョコレートやNutella(ヌテッラというイタリアのヘーゼルナッツチョコレートクリーム)を挟んだコルネットのお菓子。バーベキューを自宅の庭でする場合は、庭のバーベキューセットでお肉を焼いている間に、家のキッチンでデザートを作るのもOK。出来立てアツアツを食べることができますよ。
イタリア流バーベキュー、いかがでしたか?イタリア流は、全体で5時間くらいかけての~んびり行いますよ。いつもとちょっと違うバーベキューを試してみたい方にお勧めです♪今年のゴールデンウィークは、イタリア流バーベキューで周りをあっと言わせてみてください!
【番外編】
日本流バーベキューはイタリア人にどう思われるか、ちょっと試してみました!
食に関しては保守的な人が多いイタリア人ですが、私の周りのイタリア人たちは好奇心旺盛で新しい食べ物にも果敢に挑戦する人が多いです。なので日本流のバーベキュー、「てりやきソースの焼き鳥」を作ってイタリア人たちに振る舞ってみました。
といっても、焼き鳥を作ったことのない私・・。ネギを買うのも忘れていました 😳 代わりにたまたまあったパプリカ(イタリア語ではpeperone ペペローネといいます。)を利用したところ、結果オーライ!新たな発見の美味しさです。
イタリアで販売されている竹串や爪楊枝はなぜかこのように全て日本語の名前がついています。竹や木は日本のイメージだからでしょうか・・。こちらはKIMONO、他にはSAMURAIやらSUMOなどがあります。日本人感覚からするとかなり変です。
てりやきソースは、自宅で作って持っていきました。てりやきソースは日本では購入していたので作ったことがなく、インターネットで調べて作ってみましたが、案外簡単に作れるものなんですね。醤油、砂糖、みりん、酒だけで作れ、これらの材料はイタリアでも手に入ります。照り焼きソースをお皿に広げて、焼き鳥串に絡めようと思っていたのですが、イタリア人たちから「庭に生えているローズマリーを刷毛代わりにして、上から塗ればいいじゃん!」と。
妙なところ、機転の利くイタリア人たちです。私の手から照り焼きソースを奪い、ローズマリーで手際よくソースを焼き鳥に塗っていく様子は、熟練の焼き鳥職人のように鮮やかでした・・。完全に負けました・・ 😥
しかし、どうしてこんなに機転が利くのかと思って聞いてみたところ、このローズマリーを刷毛代わりに使うのは、豚のスペアリブにオリーブオイルを塗る時と同じだからだそうです。イタリア人の生活の知恵です。
カラフルなパプリカをネギ代わりにしたことで、美味しいだけでなく、見た目も鮮やかで美しくなりました!パプリカは火が通ると柔らかくなるので、鶏肉との触感もばっちりです。
さて、イタリア人たちからの焼き鳥の評価はというと・・・“BUONISSIMOOOOO!”(ブオニッスィモーーーー!=とっても美味しい!)大絶賛されました!あっという間に無くなり、「え?もう無いの?」と言われる始末。バーベキューが終了し、帰路に着いた時、「今日一番美味しかったのは、あのYAKITORIだったかも」とイタリア人たちが呟いていたのを聞いて、やっぱり日本流バーベキューは最高だと思った私でした :lol: 外国人からバーベキューに誘われたら、焼き鳥を試してみてください。きっと喜ばれますよ~。
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