2月はヨーロッパ各地で謝肉祭(カーニバル)が開かれます。イタリア語ではcarnevale(カルネヴァーレ)といいます。イタリアで有名なのはヴェネツィアの仮面舞踏会ですが、実はトスカーナ州Viareggio(ヴィアレッジョ)という海辺の街もヨーロッパ最大級のカーニバルが開かれているのをご存知ですか?ド迫力な巨大山車に圧倒されるこのヴィアレッジョのカーニバルは140年もの歴史を誇り、毎年100万人もの人が訪れる大規模なカーニバルなんです。私はイタリアに来る前から、このヴィアレッジョのカーニバルを一度この目で見てみたいと思っていたのですが、その希望が叶い、3年前の2012年に初めてこのカーニバルを訪れました。今回はその様子をご紹介します。
ヴィアレッジョのカーニバルはヴィアレッジョ駅から徒歩で会場まで行けるので電車で行くのが便利です。駅には既に仮装をした人が沢山いるので、着いた時からカーニバル気分を味わえます。会場に近づくにつれすごい人ごみが見えます。そして遠くからでも目にすることができる巨大な山車の数々。私も初めて見た時は「なにこれ?!」という感じでした。
いかに山車が大きいかわかりますか? 写真をご覧の通り、下の方に小さく映っているのが「人」です。3階建てのマンションを優に超える高さ。重さにして何十トンもあるそうです。この2月のカーニバルパレードのために職人が1年もかけて制作するとのこと。どれもこれも凝りに凝っていて、その完成度の高さに感動し、写真を何枚も撮影していまいました。子供から大人まで、まさに老若男女問わず参加者も見学者も楽しんでいました。しかもこのパレード、柵が一切ないので、山車に限りなく近づくことができます。見学者たちも仮装しているので、見学者と参加者の区別がつかないほど。
このカーニバルに訪れたのは2012年2月なので、東日本大震災は起きた後、最初のカーニバル。そのためか、津波をモチーフにした山車も見られました。津波の上には鬼のようなものが見えます。津波の恐ろしさを表しているようでした。上の真ん中の写真の真ん中に白い着物を来た色眼鏡のイタリア人のオジサンが見えますが、日本の極道関係者のような凄みを醸し出していました。ここまでなりきっていてあっぱれ。右上の白装束の女性たちは、なんだかちょっと意味不明でしたが、イタリア人のイメージする日本人とはこんな感じなのでしょうか・・。
とにかく多かったのは「政治家や社会を皮肉った風刺」がテーマの山車。これがヴィアレッジョのカーニバルの伝統のようで、2012年はまだベルルスコーニが首相だった年なので、とにかくベルルスコーニだらけ。「子供に見せていいの?!」というようなきわどいものもありましたが、ベルルスコーニは常に女性に囲まれニタニタ笑っているものや、悪魔に追いかけられているものなどばかり。EU諸国の社会風刺的なテーマのものも多く、ナポレオンに見立てられたサルコジ・元フランス大統領、その奥さんで有名モデルのカーラ・ブルーニは赤ちゃんに見立てられたベルルスコーニをあやしています・・。しかし、それから3年後、ベルルスコーニもサルコジも、そして先日退任したばかりですがナポリターノ大統領も退任しているとは・・時代はどんどん流れているのを実感します。下の段の真ん中には当時フィレンツェ市長だったレンツィ首相の姿も見えます。当時から人気者のレンツィはいつか首相になるのではと、次期首相の呼び声は高かったものの、こんなに早く首相になるとは!今年のヴィアレッジョのカーニバルはさぞレンツィづくしのことだと思います。しかし、ここ3年イタリアで変わらなかった社会風刺もあります。それは・・「税金地獄!」上の写真の右下のイタリアをチーズに見立て、ネズミがかじっている様子なんですが、このネズミは税金を表しているんです。こんな陽気なパレードに、皮肉めいた社会風刺をちりばめるとは、イタリアという国は面白い国だとつくづく思います。
そうそう、この巨大山車、なんと動くんです!上写真の下段の通り、緑色の囲いが開いて中から悪魔が出てきて、煙ももくもく出てきて、ベルルスコーニを追い詰めています。パレードで移動しながら、さらに山車そのものも動くという、なんともうまくできている演出です。ディズニーランドのパレードも真っ青の規模と迫力ですよ!このパレードで一番インパクトがあったのがこの山車!巨大な恐竜に度胆を抜かれました!
今年2015年のヴィアレッジョのカーニバルパレードの開催日は、2月1日(日)、8日(日)、15日(日)、22日(日)、28日(土)。今年はまだあと3日開催されますので、チャンスのある方は是非見に行ってみはいかがでしょうか?入場料は13歳以上が18ユーロ、7~12歳が13ユーロ、6歳以下は無料です。詳しくは英語翻訳もあるホームページをどうぞ!http://viareggio.ilcarnevale.com/
次回は、カーニバルに訪れていたイタリア人たちの仮装に焦点を当ててお伝えします。
次回もどうぞお楽しみに!「イタリア流カーニバルは大人も子供も全力で仮装!」
追記)2016年の開催日は2月7日(日)~28日(日)の毎週日曜日と最終日は3月5日(土)。入場料は14歳以上が18ユーロ、14歳以下が13ユーロ、120センチ以下の子供は無料です。詳しくは英語翻訳もあるホームページをどうぞ!http://viareggio.ilcarnevale.com/biglietteria-contatti
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