「アモーレ」が日本で大流行中?
いろんなところから流行というのは生まれるのですね。なんでも日本では今、「アモーレ」という言葉が大ブームになっているとか。イタリアのサッカーリーグ・セリエAのインテル・ミラノで活躍する長友佑都選手が、女優・平愛梨さんについて「僕のアモーレですね。イタリア語で大切な人、って意味なんです」と、この言葉を使って交際宣言をしたために「アモーレ」がたちまち日本中で使われるようになったそうですが、早くも流行語大賞の呼び声も高いとのこと。今年はちょうど、イタリアと日本の国交150年の記念すべき年なだけに、「アモーレ」が流行語大賞になればタイムリーでイタリア人も喜ぶかも?!
現地イタリアでの「アモーレ」の使われ方
アモーレはイタリア語でAMOREと書きます。AMO”L”Eではなく、AMO”R”Eなのでスペル・ミスにご注意ください。AMOLEなんて書いてしまうと、途端に愛も冷めてしまいます。発音は日本の「レ」の発音ではなく巻き舌のレなので、巻き舌ができない日本人には実は少々難しい発音です。
さて、このアモーレという意味ですが、直訳すればLOVE(愛)という意味なので、これだけをとって「恋人」に対してのみ使われると勘違いしがちですが、イタリアで「アモーレ」はもっと広域に使われます。もちろん恋人にも使いますが、長友選手が説明した通り、「大切な人」や親しい相手に対しての呼びかけという意味でも使われることも一般的です。
フィレンツェで日本人の知り合いと公園で話をしていた時、異性だけど親友のイタリア人がちょうど通り過ぎたので、「アモーレ!」と声をかけたところ、知り合いの日本人からは「彼は恋人なんだね」と勘違いされてしまったこともあります。
アモーレは恋人だけではなく、いろんな相手に使える便利な言葉
例えば、親や祖父母が自分の子供や孫に対してもアモーレと呼びかけます。また自分の子供や孫だけでなく、通りで見知らぬ幼い子どもからニコっと笑いかけられた場合などでも、「まあ、なんてかわいい子!」という意味で「アモーレ!」と呼びかけます。名前がわからなくても「アモーレ」と呼びかけることができるので、とても便利な言葉です。
アモーレは人相手だけではありません。大切なペットにも「アモーレ」は使えます。友達と待ち合わせた際に、「今日はアモーレを連れて行くよ」と言われて、犬がついて来たこともあります(笑)
誰かれ問わず「アモーレ」と呼びかけまくるのは、比較的ご年配の方や田舎出身者に多い傾向に見受けられますが、イタリアに住んでいると、どこかしこでいつも「アモーレ」という言葉が耳に入ってきます。前述した通り、名前がわからない相手にも使えるので、BAR(バール、喫茶店とバーとコンビニがミックスしたような場所)でもしょっちゅう「アモーレ」が飛び交います。顔見知りで既に仲良くなっているのに、うっかり名前を忘れてもう一度名前を聞くのももはや失礼にあたりそうな相手への呼びかけにはうってつけ。とりあえずアモーレ!と声をかけてその場はつないでおいて、後で裏でこっそり友人に「ごめん、あの人の名前、なんだっけ?」と聞けばいいのです。
アモーレと似たような感じで使われる言葉にTESORO(テゾーロ)=宝物という言葉もあります。テゾーロも様々なシーンや相手に使われる言葉ですが、イタリアに来て間もない頃は、色んな人から「アモーレ」だの「テゾーロ」だの声をかけられて、「なんなんだ、この国は?!愛だの宝物だの、表現が映画のセリフみたいな世界じゃないか!?」と面喰ったものです。ただ、この表現はイギリスやアメリカでも同じでSweet Heart(スウィート・ハート)や My Dear (マイ・ディア)などと親しい人やお客さんなどに呼びかけるのは一般的で、特にイタリアだけでの文化ではありません。
あまりに「アモーレ」だの「テゾーロ」だのの世界にどっぷりつかってしまっている私は、果たして日本ではどんな風な表現があったっけ?と逆に考えこんでしまいました。身内では名前やニックネーム、見知らぬ人から見知らぬ子ども相手には「お嬢ちゃん」「お坊ちゃん」ってとこでしょうか。犬は「愛犬」と「愛」をつけて呼ぶことから、犬に関してはイタリア語と通じるものがあるかもしれません。
そういえば、アモーレもテゾーロもそうですが、イタリア語の挨拶や声かけには他人を気持ちよくさせる表現がよく使われる気がします。”Ciao Bella”(チャオ、ベッラ)というのも最も一般的な挨拶なのですが、Bella(ベッラ)とは直訳すると「美人」です。街であちこちから「やあ、美人さん!」と声をかけられると悪い気はしません(笑)逆に日本では、市場の魚屋などで「奥さん、安いよ!」と声をかけられ、「結婚してなきゃならんのかい!」と突っ込みを入れたくなったり、年齢不相応に「お嬢さん!」と声をかけられ、「騙そうっていう魂胆でもあるんかい!」と反発してみたくなったものです。日本で「綺麗なお姉さん!」なんて話しかけたら、完全に詐欺のナンパと疑われますし、日本とイタリアではこうも「声かけ」文化が違うものですから、日本人にとって「アモーレ」は異次元の言葉のようにさえ思われます。その違和感も逆に斬新で、だからいっそうこの「アモーレ」が一気にブームになったのかもしれません。
もともとイタリアというと世界中で「アモーレ」(愛)の国というイメージがあり、今回の長友選手の発言でいっそうそのイメージが高まったように思いますが、だからといって、そのつもりでイタリアに来ると、色んなイタリア人から「アモーレ」と声をかけられ「うわあ~本当にイタリアって愛の国。こんなにモテてどうしよう~」と大きな勘違いをしてしまうことになりますので、そこは十分ご注意くださいませ!
恭子 says
イタリア🇮🇹人ってAMORE&DOLCE VITAの国で生まれただけあって情熱的じゃん😃私は情熱的&お洒落な男性って好き💗だわ😃