イタリアのゴーストタウンへ
イタリア人の友人たちから「ゴーストタウン」ツアーへ誘われました。「数年前に集落が捨てられ、現在は誰も住んでいない廃墟村があるから見に行こうよ!」とのこと。イタリア人も案外「肝だめし」のようなものが好きとは驚きでしたが、面白そうだったので参加してきました。
イタリアも日本と同じで、交通が不便で娯楽の少ない田舎を訪れると老人率の高さが目立ちます。若者は仕事を求めて都会へ出るのはイタリアも同じです。今回訪れたのはフィレンツェから車で1時間ほどの位置にある、BURIANO(ブリアーノ)という村。この村は不運にも過去に2回も「捨てられた」村です。
一度目は住民だった農民たちが、工場へ仕事を求めて村を去ったこと。二度目は90年代に観光地として復活させようとして失敗したこと。その後はゴーストタウンとなって今に至ります。
肝だめしは・・・失敗。
結論を先に言ってしまいますが、肝だめしとしては・・・大失敗。友人たちは肝だめし的な雰囲気を盛り上げようと、あれこれイタリアにまつわる怖い話をしながらブリアーノの村に入りましたが・・・残念ながらこの日は一点の曇りもない超晴天!まばゆい太陽と真っ青な空の元では、ゴーストタウンとはいえ不気味な雰囲気はゼロ。それでもせっかくなので、村をしっかり見学することに。
村は、農民たちが暮らしていた古い家、アグリツーリズモ会社が経営していた大きな建物、小さな教会、小さなお墓で構成されています。最初にアグリツーリズモが行われていた大きな建物を見学しました。
中はけっこうゴーストタウンの雰囲気を醸し出しています。これが、薄暗い曇りの日や夕暮れ時だと、けっこう怖いと感じるかも?
リアル幽霊屋敷のような雰囲気。家具もそのまま放置されています。
続いて農民が住んでいた家。
ゴーストタウンツアーのハイライト!(笑)唯一、ホラー映画っぽい小物の登場にみんな大興奮!「心霊写真が撮れるかも」などといってバシバシ写真を撮影していましたが・・・特になにも写っていませんでした。私たちと同じように、肝だめしで訪れた他の観光客がわざと雰囲気を盛り上げるために置いていったものかもしれません。
外観はそれなりにお化け屋敷風な雰囲気も漂っていました。
建物の中はホラー映画の撮影などにぴったり。奥から何かが出てきそう・・・。
教会の扉。鍵がかかって中に入れず残念。
お墓は不気味さゼロで整然とした雰囲気。というか、お花が色とりどりに飾られていることからも、親族がたまにお墓参りに来ていることがわかります。村は誰も住んでいないとはいえ、ちょくちょく訪れる人がいるようです。完全にゴーストタウンではないという寒い結果に・・。きわめつけはこちら。
ちょっと見えにくいかもしれませんが、元気な鶏が何羽もいました。友人たちは「ゴーストタウンに鶏がいる!きっと鶏は幽霊に違いない」などとバカなことを言ってなんとか盛り上げようとしていましたが、誰かが定期的にこの村に通っていることが決定的になり、ますます拍子抜けの肝だめしツアーとなってしまいました。
肝だめしという意味合いでは失敗した今回のツアーですが、イタリアという国は廃墟となった村でさえも退廃的な雰囲気がアートっぽく、なんとも美しいなあという感想を持ちました。イタリアも高齢化が進み、この先、ブリアーノのように捨てられる運命の村が増えていくことが予想されますが、何百年と暮らせる古い家がこのように見捨てられていくのは寂しい気がします。
ブリアーノの周りはこんなにのどかで美しい自然が広がっていました。さて、ツアーはこの後、「ドラキュラの街」を訪れます。その様子はまた次回に!
きたとしかず says
トスカーナの休日という映画があるのですが、映画の舞台そのまんまな感じですね。限界集落問題、日本と同じくらい深刻なんですね・・
フィレンツェから1時間の田舎暮らしなら日本でもたくさん希望者いそうに感じますが、現実を知らない甘い幻想なんですね・・
Mako says
きたさん、コメントありがとうございます。
「トスカーナの休日」はずっと観たいと思いつつ、まだ観ていないので近々必ず観てみます!
最近はアグリツーリズモ人気で、トスカーナのような美しい田舎はまだいいのですが、それ以外の寒さが厳しい田舎や観光地から遠い田舎などは厳しいかもしれません。
バジリカータのような知名度の低い州の田舎は老人ばかりでした。
ところで映画「The trip to Italy」(邦題:イタリアは呼んでいる)はご覧になりましたか?絶景の数々&美味しそうな5つ星レストラン&素敵なホテルが出てきて、まるでイタリア観光PRのような映画でお勧めです。リグーリア州も出てきますよ。