小ウィーンと呼ばれるオーストリアのような町並みのトリエステ
スロベニアとの国境に位置し、アドリア海に面した北イタリアの港湾都市トリエステ。日本人にとっては「トリエステの坂道」の著者でイタリア文学の翻訳者として活躍された須賀敦子さんゆかりの街として知られています。が、観光地としてはまだ知名度が低い街で、トリエステを夏と冬に二度訪れた際も日本人をほとんど見かけませんでした。
私も須賀敦子さんのドキュメンタリー番組を観てイタリアの中でもユニークな歴史背景を持ったトリエステに興味を持った一人なのですが、実際に訪れて感じたこととトリエステ出身の作家で知人のルーチョさんから伺ったお話を伝えたいと思います。
“VIVA LA’ E PO BON” (ヴィヴァ・ラ・エ・ポ・ボン)
“VIVA LA’ E PO BON” (ヴィヴァ・ラ・エ・ポ・ボン)。トリエステを語る上で欠かせないフレーズです。実は一般のイタリア人でも理解できないこのフレーズなのですが、それもそのはず、このフレーズはトリエステの方言なのです。意味は、「この一瞬を生きろ。新しくやって来るものに適応しろ。未来は案ずるな。」といった意味で、トリエステというイタリアの中でも特殊な歴史を背景にもつ街であるゆえに生まれたフレーズなのです。
今も色濃く残るハプスブルク家の影響
「小さなウィーン」と呼ばれるように街の景観にしてもウィーンに似ており、オーストリアのハプスブルク家の影響が今も色濃く残った優雅で美しい建物が立ち並びます。
創業1918年の老舗菓子店PENSO(ペンソ)では、今も店内にオーストラリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世の肖像画が掲げられており、パティシエのイタロさんは「皇帝が在位していた時の写真なんですよ」と曾祖母の写真を見せてくれました。
その影響はもちろんスウィーツにも。PENSOではトリエステ伝統菓子を販売していますが、ウィーンやドイツ名物のアップルシュトゥルーデルも名物で、PRESNITZ(プレスニッツ)という焼き菓子はアップルシュトゥルーデルと似たようなお菓子で名前からしてオーストリア風です。
Pasticceria Penso
Via Armando Diaz, 11, 34123 Trieste TS
URL https://www.facebook.com/pasticceriapenso/
illy(イリー)の本社もあるトリエステはカフェ文化と作家の街
トリエステを語る上で欠かせないのはカフェ文化です。貿易港として栄えていた頃にアフリカからヨーロッパへコーヒー豆が輸入され、さらにオーストリアのカフェ文化の影響を受け、コーヒーの街となりました。日本人にも人気のコーヒー「illy(イリー)」の本社もトリエステにあります。
中心地から足を伸ばして港にたたずむミラマーレ城へ
街の中心地から6キロほど離れたところにある、アドリア海沿いの城Castello di Miramare(ミラマーレ城)はトリエステで最も人気のある観光名所です。1856年から1860年にかけてオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟であるマクシミリアン大公によって築かれた白亜の城で、現在は博物館となり有料で中を見学することができます。
その他、冬と夏のトリエステの様子やトリエステ出身の作家ルーチョさんのお話など、続きはこちらからどうぞ→ 【小ウィーンと呼ばれるオーストリアのような町並みのトリエステ、カフェと作家の街を訪れて】
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