イタリア中部地震、震源地近くの街、NORCIA(ノルチャ)
今回の地震の震源地近くの街、ウンブリア州のノルチャ。最も被害の大きかったアマトリーチェとノルチャは震源地からほぼ同じ距離にあり、ノルチャとアマトリーチェは車で40分ほどの距離です。
アマトリーチェ被害の記事はこちら→ 「イタリア中部地震に見る、日本とイタリアの違い」
追記10月30日、ノルチャで再び地震が発生した記事はこちら
→【Norcia(ノルチャ)でM6.6の地震被害、教会崩壊】
地震のニュースを知った時、真っ先に耳にしたのが「ノルチャ近くで地震があったらしい」だったのですが、これにはとても驚きました。実は先月、ノルチャを訪れたばかりなのです。ノルチャでは、「このレストランのためだけに、またノルチャに戻りたい」と思うほど、こだわりの料理が美味しく&店員の説明が丁寧でとても感じのいいレストランを見つけました。そんな思い出のノルチャで地震・・・。
しかし、その後のニュースで被害を伝えるのはアマトリーチェやペスカーラ・デル・トロントなどのみ。というのも、ノルチャは震源地からすぐそばだったにも関わらず犠牲者が出なかったのです。イタリアの新聞報道をチェックすると、ノルチャは過去1979年と1997年に地震で被害にあった教訓から耐震工事を施し、そのおかげで家屋全壊を免れ、死者を一人も出さなかったとのこと。一方、被害の大きかった他の街では耐震対策は行われていなかったとのことでした。イタリアでは日本ほど地震が頻繁ではなく、また経済的な問題から耐震対策への意識が低いのですが、この意識の差がノルチャとアマトリーチェ他と明暗を分けたようです。今後はイタリアも国、自治体レベルで地震対策に取り組むのか、この先のイタリアの動向も見守りたいです。
追記10月30日、ノルチャで再び地震が発生した記事はこちら
→【Norcia(ノルチャ)でM6.6の地震被害、教会崩壊】
同じく被害を受けた「天空の花畑」で有名なカステルッチョの地震前の絶景写真はこちら
→【イタリア中部地震、カステルッチョ・ディ・ノルチャは「天空の花畑」で有名な観光地】
ノルチャで見つけた、こだわりの美食レストラン
ノルチャは犠牲者は出なかったものの、建物の内部や店舗の商品などが損壊するなど、地震の影響を受けたようです。また、観光地としての経済的ダメージは大きいようです。私がノルチャを訪れた7月も多くの観光客を見かけましたが、8月はバカンス、行楽シーズンなのでさらに多くの観光客が訪れていたと予想されます。その観光客が、地震後は余震を恐れて立ち去ってしまい、町はひっそりしているとのこと。あんなに活気のあった街が、静けさに包まれているとは寂しい限りです。
私は必ずまたノルチャを訪れたいと思っているのですが、それは、フィレンツェから車で3時間かけてでも訪れたいほど美味しいレストランを見つけたからです。
IL CENACOLO(イル・チェナコロ)という名のそのレストランは、ノルチャの中心街、サン・ベネデット広場から徒歩ですぐの場所にあります。
内装は落ち着いた、どことなく温かみのあるシックな雰囲気。
イタリアのレストランは、夏はテラス席から埋まっていきます。イル・チェナコロもテラス席はすぐに満席になりました。少し早めの時間に訪れたため、予約無しでもすんなりテラス席に通してもらいました。
イタリアのレストランはテラス席は犬の同伴がOKの場合が多く、また犬の方も慣れていてトラブルを起こしているところなど、見たことがありません。私の友人も愛犬を連れていたのですが、友人がトイレに立っている間に、自分でひょいっと椅子に上がってしまいました。その姿がなんとも愛らしく、まわりのお客さんを笑顔にさせていました。
このレストランは素材に対して大変こだわりがあり、地元の素材をふんだんに使用。しかも使っているお肉の豚は、レストランが育てた豚のみを使っているとのこと。お店の人が丁寧にレストラン自慢のこだわり食材について説明してくれます。
Norcinerie prosciutto 22 mesi, salumi e pecorino
自家製豚のプロシュート(22か月もの)、サラミとペコリーノチーズの盛り合わせ
このサラミ、生ハムに使われている豚は、ウンブリア州原種のウンブリアしか生息しない豚です。レストランが育てたこだわり豚の自家製サラミ・生ハムは、同行したトスカーナ出身&プーリア出身のイタリア人たちも「信じられないほど美味しい」と感動していたほど。
写真右はチーズにつけるコンフィチュールなのですが、これまた超絶おいしい。お店のマダムが「これも自慢の自家製よ。」と自信満々に提供してくれたのですが、さすが自慢の一品。赤い方は苺とペペローネ(パプリカ)という珍しい組み合わせでしたが、なんで今まで試さなかったのかと残念に思えるほど見事なコンビネーションでした。
Maltagliati di Camerino, porcini essicati, salsiccia e reggiano 48 mesi
カメリーノのマルタリアーティ、ドライ・ポルチーニ、サルシッチャとレジャーノ・チーズ(48か月もの)
カメリーノは生産地の名前、マルタリアーティはパスタの一種で平たいパスタを無造作にわざと形をそろえずザクザクと切った形のパスタのこと。ポルチーノきのこ、サルシッチャ(イタリア風ソーセージ)のソースで、パルミジャーノレッジャーノチーズがかかっています。
Norcina, ricotta di pecora, guanciale e pecorino
ノルチーナ、羊のリコッタ・チーズ、ほほ肉とペコリーノチーズ
ノルチーナとは、サルシッチャ入りソースのパスタのこと。羊のリコッターチーズ・ほほ肉が加わったソースは濃厚な味わい。
Spaghetto artigianale di Gragnano e tartufo estivo
グラニャーノのスパゲッティとサマー・トリュフ
これでもかっていうほど、ふんだんにサマートリュフが山盛りされたパスタ。出てきた時、思わず「わ~すごい!」と声があがります。味付けはトリュフの香りとデリケートな味を生かすため、ほぼオリーブオイルと塩のみと思われるシンプルな味付け。サマートリュフは夏に採れるトリュフで中は黄色、通常の黒トリュフより少しお値段が安めが一般的。イタリアもトリュフは頻繁に使われる素材で私も何度も食べていますが、味はあまりしないものがほとんどでした。しかし、ここで食べたトリュフはほのかに甘味があって美味しい!香りの良さはもちろん言及するまでもありません。
ちなみに日本ではトリュフと呼ばれていますが、イタリア語では「tartufo=タルトゥーフォ」ですのでお間違えの無いように。
食後のコーヒーにはミニドルチェをサービスしてくれました。何気なく食べたところ、これまたとっても美味しい生チョコレート。お値段もフィレンツェでは考えられないほどお手頃価格で、最後の最後まで大満足のレストランでした。このレストランが近所にあればヘビロテ間違いなしなのですが、フィレンツェからは車で3時間という遠距離がなんとも恨めしい。
美しい街並み、こだわり素材の美味しいレストラン、親切な店員さん。またここで楽しく食事ができる日を楽しみにしつつ、ノルチャの街の復興と観光客来訪の回復を祈りたいと思います。
Il Cenacolo(イル・チェナコロ)
トリップアドバイザーのページ
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g194835-d1914323-Reviews-Il_Cenacolo-Norcia_Province_of_Perugia_Umbria.html
きたとしかず says
久しぶりに拝見しました。
地震ずいぶん被害があったようですね。
アマトリーチェ、ノルチャと料理人には馴染みのある町の被害が報道されていて、いつも以上に気になります。
日本の新聞でもノルチャの地震対策のことが特集されていましたよ。
伝統的な加工肉の町としてずっと気になっていた町だったのですがアクセス悪そうな地域だし、すごく興味深く読ませてもらいました。
サラミやプロシュートが美味しいのはもちろんですが、使っているお肉もこだわりあるんですね~
Mako says
きたとしかずさん、お久しぶりです!いつもコメントありがとうございます。
また別の機会に書きますがカステルッチョのお花畑を見に行くのが目的で、その帰りに近くのノルチャで食事というスケジュールでした。ところが、この「ついでに寄った」と言っても過言ではないノルチャのレストランが大ヒット。アクセスがとっても不便でフィレンツェからも遠かったのですが、また必ず食べに戻りたいと思うほど素晴らしかったです。