外国人たちと過ごしていると、「え?こんなことが違うの?!え?そうやってやるの?」という日本との違いの発見に満ち溢れています。そのひとつがトランプの切り方です。日本では「当たり前」なのが、利き手じゃない方の手の平を受け皿のようにしてトランプを持ち、利き手でトランプを引き抜いて上に重ねる・・を繰り返す方法だと思います。シャッフル方式とでも言いましょうか。
これを、イタリア人たちとトランプ遊びをした時に何気なくやったところ、途端にイタリア人たちの目が私の手にくぎ付けに!「なんなんだ、このやり方は?!どうなってるんだ?!なんて器用なんだ、どうすればできるんだ?」とみんなびっくり。
みんな私の真似をしてみるも、「難しすぎる・・」「手がツリそうだ・・」とギブアップ。私からすると、この切り方が日本のベーシック、「当たり前」なので、こんなことで驚かれるとは今まで思っても見ませんでした。「へ~!こんな違いがあるんだ~。」と面白く思ったものです。海外で知る、外国人に驚かれる日本のベーシックな技です。
では、イタリア人はどうやってトランプを切っているのか。これには逆に私が驚きました。「え~!そんな風にしたら、トランプ傷むんじゃないの?!」と。
上の写真、少々わかりにくいかもしれませんが、イタリア人たちは両掌にトランプを半分ずつ持ち、それを一方の半量トランプにもう一方の半量トランプをガチガチ無理やり押し込む感じで交差させるという方法。日本の方式のようにトランプが空を切ることはありません。「そんなことしたら、トランプ折れちゃうんじゃないか?」とハラハラします。そして、紙の場合、確実に紙の端がすり減ると思います。「そんなことしたらトランプがすぐ痛むよ」と言うと、「そうだよ。だからまた新しいトランプを買うから、経済が潤うじゃないか」と意味不明の持論を展開する始末。 とかいうくせに、私が日本式の華麗なトランプの切り方をする度に、「すごい・・・」という視線を浴びせてくるのですが。そして、そんな視線を浴びて、ついつい得意げになってさらに過剰にシャッフル方式を見せびらかしてしまう私も私でまた、本当にどうしようもない・・・ 😳
イタリア語ではトランプのことはGIOCARE A CARTE(ジョカーレ・ア・カルテ)と言います。イタリア人は実はとっても健康的?で、老若男女問わず、ホームパーティーでも、BARでも、路上でも、よくトランプをしています。
イタリアでよく遊ばれるトランプ遊びは「SCOPA(スコーパ)」や「BRISCOLA(ブリスコラ)」などがあります。それからトランプを2つ分使う遊び方に「MACHIAVELLI (マキャベリ)」というゲームなどもあります。この国はトランプ遊びまで、有名人の名前をつけるのかい・・と妙な気持ちになりますね 😯 さて、これらの遊び方が日本でもあるかどうかは知りませんが、私はイタリアで学びました。日本でお馴染みの「七並べ」などは、イタリア人は知らなかったですよ。トランプ遊びも国によってずいぶん違うようです。
そして、日本ではトランプ遊びは52枚を使うのが常識ですが、イタリアでは40枚を使うのが常識です。もっともポピュラーな遊びの二つ、「SCOPA(スコーパ)」と「BRISCOLA(ブリスコラ)」も40枚で遊びます。
(2015年4月21日補足:読者から質問があり、40枚というのは絵札を除いたカードのことかと聞かれました。そうではなくて、8~10のカードを使わないんです!ジャックを8、クイーンを9、キングを10として使うんです。)
それから、トランプの絵札もイタリア独自スタイルで呼びます。日本は英語をそのまま使って、KはKING(キング)、QはQUEEN(クイーン)、JはJACK(ジャック)と呼ぶと思うのですが、イタリアは決して右に倣えをせず、自分たちの呼び方を貫きます。KはKと書かれていようとそんなものもろともせず、RE(レ=王様、意味は同じ)と呼び、Qも同じく、Qは無視して、REGINA(レジーナ=女王様)またはDONNA(ドンナ=女)、JはJACK(ジャック)とも呼びますが、Jを無視して、なぜかGOBBO(ゴッボ=猫背、せむし)とも呼びます。よりによって「せむし」だなんて、哀れなジャック・・・ 😯
それからハートはCUORI(クオーリ=ハート)、ダイヤはQUADRI(クアドリ=四角)、クローバーはFIORI(フィオーリ=花)、スペードはPICCHE(ピッケ=スペード、矢じり)といいます。ちなみに、この順番、CUORI、 QUADRI、 FIORI、 PICCHEも大事だそうで、通常CUORIが一番強いそうです。この順番の覚え方として、頭文字を文章に入れて、Come Quando Fuori Piove(コメ・クアンド・フオリ・ピオーヴェ=外で雨が降る時のように)と覚えるそうですよ。
マークを独自読みする背景には、イタリアでは世界共通バージョンのトランプ(イタリア語ではCarte Francesi=カルタ・フランチェージ、フランスのトランプ)を使うようになったのは最近のことで、もともとイタリア各地で独自のトランプを使っていたからだとか。
こんなに沢山、ご当地トランプがあるなんて、イタリアはトランプ遊びがよっぽど盛んなんですね。そして、これらのトランプは今でも使われています。
イタリア人のご家庭に食事に招待されたら、食後はちょっとトランプ遊びをみんなで・・というのも、よくあることなので、上記のトランプ用語を覚えておくと、すぐに遊びに参加できて便利ですよ~。
ところで、街中でトランプ遊びをしている人はちょくちょく見かけますが、路上でイタリア人たちが麻雀をしているのを見かけた時には驚きました!フィレンツェでは見たことがなく、ラヴェンナの近くの街でしたが。イタリアでも有名な遊びのようで、発音はマジョングだそうです。
かなり真剣で慣れた様子ですね~。しかし、漢字はどうやって読んでるんでしょうね?漢字で書かれた数字とか、わかるのでしょうか?!
海外へ出かける際に、特訓してなにか披露できる特技でもあれば、「おお!」と、外国人たちから一目置かれるかもしれません。ですが、今回のトランプのシャッフルみたいに、案外普通にやってることで驚かれることもあります。なので、海外へ出てみたいと思う人は、日本で準備ばかりしていないで、さっさと出かけちゃうのもそれはそれでいいと思いますよー。
コメントを残す