BUON NATALE!
久しぶりのブログの更新になってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今年のイタリアは暖冬で、クリスマスもここフィレンツェは日中20度も気温があり、とても暖かいクリスマスでした。イタリア語でメリークリスマスはBUON NATALE(ブオン・ナターレ)、サンタクロースはBABBO NATALE(バッボ・ナターレ)といいます。少々遅くなりましたが、みなさん、BUON NATALE!
イタリアはキリスト教の国ですから、クリスマスは宗教的な伝統ある祝日です。日本の大晦日がイタリアのクリスマスイブ、お正月がクリスマスのようなイメージといえばわかりやすいでしょうか。日本人が大晦日にお寺や神社へお参りに行って、午前0時に除夜の鐘が鳴るように、イタリアでは(熱心なキリスト教信者は)クリスマスイブに教会へ行ってミサに参加し、午前0時に教会の鐘が鳴ります。
私はキリスト教信者ではありませんが、イタリアのクリスマスイブの過ごし方を知りたくて、3年前にフィレンツェのドゥオモのミサに出席しました。いつものミサとは違い、かなりの長丁場。実に2時間近くかけて行われました。ドゥオモには出席者のための椅子が多数用意されていましたが超満員で、立っている人が多くいました。
午前0時になると、教会の鐘が鳴るのですが、これが日本の除夜の鐘のような穏やかなものではなく、ガランガランとかなり賑やか。お年寄りや子供は夜中に目を覚ましてしまうのではないかと思うほど。
イタリアのクリスマスは家族が集まってランチ会
日本のお正月は大晦日から家族が集まり、家族で元旦から祝いますが、イタリアのクリスマスは昼食から祝います(イタリア南部では24日の夜から祝う地域もあるので、地域によって差はあります)。昼食前に家族・親族たちが集まり、長い長いランチ会が始まります。私が住むフィレンツェは、普段からカジュアルな格好の人が多く、会社員でもビジネススーツにネクタイ姿の人が少ないのですが、クリスマスはそれなりにきちんとした格好をするので、ちょっとだけ街の雰囲気が変わります。特にお年寄りがきちんと正装し、おじいちゃんがネクタイ姿、おばあちゃんがお化粧をして宝石を身につけている姿をよく見かけました。
クリスマスツリーの下にはきれいにデコレーションされたプレゼントを並べます。
気になるイタリア人のクリスマスの食事内容は?
普段からホームパーティーや家族の食事会を開き、大人数での食事会を開いているイタリア人なので、テーブルセッティングもお手の物です。クリスマスバージョンはテーブルクロスをクリスマス柄にすること。これだけで一気にクリスマスの雰囲気になります。プラスチック類は一切置かず、陶器のお皿、銀食器、ガラスの上品なコップ、これだけでとても優雅になります。
さて、美食の国・食文化を誇るイタリアでは、クリスマスに何を食べると思いますか?イタリア料理の定番通り、コース料理になり、一品づつ提供されます。イタリア料理はレストランでも家庭でも同じでこのコースの順番に則って食事が進みます。
(1)ANTIPASTO(アンティパスト)=前菜
(2)PRIMO PIATTO (プリモ・ピアット)=最初の皿→パスタ料理やお米料理などの炭水化物系の食事
(3)SECONDO PIATTO(セコンド・ピアット)=二番目のお皿→魚や肉などのメイン料理
(4)CONTORNO (コントルノ)=付け合わせ、副菜。メインに合わせる付け合わせのほうれん草のソテーやローストポテトなど。
イタリア料理に欠かせないお酒も料理に合わせて数本用意されます。メインはお肉料理になるので、赤ワインは欠かせません。以前、別のイタリア人家庭のクリスマスランチに出席した時は、各郷土料理の地に合わせたワインが出てきました。ピエモンテ州の料理にはBAROLO(バローロ)といったように。このこだわりぶりには驚かされたものです。
最初の一杯はプロセッコ(スパークリングワイン)やシャンパーニュから始め、全員が席につくとスパークリングワインで乾杯します。これはお誕生会などのお祝いの席でも同じです。
料理は各地方、各家庭で違います。「今年はどんな料理にしようかな」とイタリアのお母さんたちは料理の本を買って、あれこれレシピを考えます。クリスマスの準備は料理レシピ選びから始まります。
ANTIPASTO(前菜)
写真左は薄切りパンにサーモンクリームを載せたブルスケッタ。右はAringa(アリンガ=ニシン)のオイル漬け。
イタリア料理に欠かせないチーズはペペロンチーノ(唐辛子)のジャムを添えて。
大皿に出てきたものを各自で取り分けて頂きます。イタリア料理は見た目も美しく、それでいて簡単にできるものも多く、日本人にとってはホームパーティー料理になるようなアイデアがいっぱい。
PRIMO PIATTO(パスタ料理)
クリスマスに食べる、伝統的で最もポピュラーなパスタ料理は、トルテッリーニというひき肉を包んだパスタが入ったブロード(野菜やお肉でとったダシで作るブイヨン・スープ)、スープパスタです。ですが、今年私が参加させてもらったクリスマス食事会ではトルテッリーニはなく、別の2つのパスタ料理でした。上の写真は、ネギと生クリームのパスタ。
もう一品はラグー(ミートソース)のパスタをオーブンで焼いたPasta al forno(パスタ・アル・フォルノ)。パスタ料理の場合、出来立てを食べないと美味しくないことが多いですが、このオーブン焼きパスタ(日本で言うグラタンのようなもの)は、冷めた後しばらくおいて、食べる間に再び温めて食べると、味がぐっと馴染んで美味しいです。
SECONDO PIATTO(メイン料理)
CONTORNO(付け合わせ)
クリスマスは豪快にメイン料理が2品出てきました。一品目は香草などを詰めて焼いたチキンの丸焼き。チキンの周りに敷き詰められている野菜はRapa(ラパ)というほうれん草に似たイタリア野菜。
豪華に大皿にど~んと盛り付け、それぞれがお腹の減り具合に合わせて取分けて食べます。この頃になると、既に何種類もの料理を食べているのでけっこうお腹がいっぱいになってきます。
付け合わせの溶かしバターのかかった栗のピューレ(イタリア語ではプレといいます)。イタリアでも最も食べられるのはジャガイモのピューレなので、栗のピューレは初めて食べました。栗というので甘いのかと思いましたが、甘さはほとんどありません。
他にもリンゴと玉ねぎと人参のソテーもありました。ソテー、ピューレ、野菜をソース代わりに一緒にチキンと食べるとまた味が色々変わって美味しいです。
ザクロのサラダ。オリーブオイルと酢がかかっているのですが、これがとても美味しかった。種が大きくて硬くてジャリジャリしたのが少し残念でしたが、ザクロの爽やかな甘さが酢を合わさってさっぱり美味しい。お肉料理の間に口をさっぱりする効果もあってついつい食べ過ぎてしまいました。
メイン料理の2皿目は粒コショウの効いたローストビーフ。とにかく料理の数も量も半端ではないイタリア。このお肉が出てくる頃には正直言ってお腹が悲鳴をあげていて、ほんの一口しか食べられませんでしたが、お肉の良さを味わえるシンプルな味付けでした。
DOLCE(デザート)
まだまだ続くランチ。13時頃始まったランチは既に16時近くになっています。3時間以上食べ続けているという・・。でもまだ終わりません。最後のデザートに伝統的なPanettoneが欠かせません。他にもPandoro(パンドーロ)というバターの効いたカステラのようなお菓子と、ミルフィーユもありました。
個人的にはこのミルフィーユにイチゴが入っていたらいいんだけどなあ・・というところでしたが、クリームの甘さが控えめで美味しい。
イタリアのクリスマスのデザートといえばこのパネットーネ。日本人にとっては、ケーキではなく菓子パンのような感じなので、ティラミスやパンナコッタのように人気がでませんが、イタリアでクリスマスのデザートといえばパネットーネです。私もこれまで正直言って感激するほど美味しいパネットーネに出会っていませんでしたが、今年は違います。このパネットーネには感動しました。なんとグラッパ(イタリアの蒸留酒)入りのパネットーネだったのですが、とにかくしっとり感が違いました。しっとりもっちりしていて、お酒の風味がきいていて、あんなにおなかいっぱいだったのについつい手が伸びる美味しさ。
お腹いっぱいになった後はプレゼント交換です。子供から大人までみんなそれぞれにプレゼントを用意して交換し合います。子供たちが「サンタクロース(バッボ・ナターレ)がプレゼントを運んできてくれた」、と信じるのは世界共通、イタリア人の子供たちもプレゼントを楽しみにしています。
ヨーロッパの国々の中でも特に家族の絆が強いイタリア、クリスマスはその絆をいっそう強める日。そしてそのお祝いの場には必ず美味しい料理があるのがイタリア、という国。「家族と料理」こそイタリアという国を表す言葉だと、イタリア人たちのクリスマスを見つめながら再認識しました。
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