トスカーナを代表する伝統料理「リボッリータ」、フィレンツェのマンマ直伝レシピ
トスカーナ州出身のイタリア人に「トスカーナ名物は?」と聞くと、誰もが回答するのが「リボッリータ(Ribollita)」です。先月ご紹介した「パッパ・アル・ポモドーロ(Pappa al pomodoro)」が春〜夏のトスカーナ名物なら、今回ご紹介するリボッリータは秋〜冬のトスカーナ料理の代表格。
リボッリータはパッパ・アル・ポモドーロと同様にトスカーナの塩なしパンを使うスープで、トスカーナ特産のカーボロ・ネロ(黒キャベツ)が入った、トスカーナの人たちの大好物。リボッリータとは、「Ri(=再び)bollita(=煮る)」つまり「再び煮込んだ」という意味で、調理済みのスープを一晩寝かしてから食べる前に再び煮ることに由来しています。出来たては「パン入りミネストローネ(Minestrone di pane)」、それを一晩寝かして食べる前に再び煮込むと「リボッリータ(Ribollita)」になるというわけです。
今回リボッリータのレシピを紹介してくれたのは、フィレンツェから40キロほど離れたピアン・ディ・スコ出身で1965年からフィレンツェで暮らしているというジュゼッピーナ・タイティさん。
「レシピ本なんて見ないわよ。どうやって料理を覚えたかって?考えたこともなかったわ、どれも自然と覚えたものなのよ。実は料理を教えるのはとても苦手なの。だって、材料はすべて目分量で、量ったことなんてないんだから。適当だから教えようがないのよ〜!」と豪快に笑うジュゼッピーナさん。これまで色んなイタリア人マンマに料理の取材をしてきましたが、レシピ本を持っていないマンマは彼女が初めてでした。
「今日教えるリボッリータは、私の祖母から伝わる味。祖母からも母からも料理を教えてもらったことは無いけど、なんとなく作り方を目で見て覚えた感じかなあ。」とのことで、ジュゼッピーナさんが昔から味わってきたオリジナルレシピでリボッリータを作ってもらいました。
「材料はすべて目分量よ」豪快なマンマ直伝!「リボッリータ」のレシピ
寒い日に食べると体も心もほっこり暖まる優しい味わいの庶民の味、リボッリータ。一度に沢山作ったほうが美味しくできあがるので、たっぷり作ってください。余ったら冷凍保存もできます。
リボッリータに使うパンは、石臼で引いた小麦を使って窯で焼く昔ながらの製法で作られた、塩なしのトスカーナのパンがベストですが、日本ではなかなか手に入らないので、その場合はフランスパンなど固くなるパンを代用してください。最低でも1日以上置いて硬くなったパンを使うのがポイント。
また、野菜も好みでアレンジが可能ですが、「豆とカーボロ・ネロ(黒キャベツ)」は必須。豆はカンネッリーニ種が望ましいですが手に入らない場合はいんげん豆などで代用、カーボロ・ネロが手に入らない場合はほうれん草などを代用して下さい。
Ribollita(豆と黒キャベツ入りパン粥ミネストローネ)
<材料(4~6人分)>※ジュゼッピーナさんが目分量で使った分を計量しました。
・古くなって硬くなったパン400g
・乾燥豆600g
・タマネギ2つ(可能なら赤タマネギ)
・ニンニク1片
・セロリ1本
・ニンジン1本
・キャベツ4分の1
・カーボロ・ネロ(黒キャベツ)500g
・ジャガイモ1つ
・皮無しのトマトホール缶300g
・エキストラバージンオリーブオイル半カップ
・塩、コショウ 適量
<下準備>
①パンは前日より前に購入しておいて、最低でも1日置いて乾燥させておく。
②乾燥豆を前夜までに調理しておく。
調理法:乾燥豆を2リットルの冷水とわずかな塩と大さじ1杯のオリーブオイルで柔らかくなるまで茹でます。
<作り方>
①カーボロ・ネロの大きい葉の部分は芯を取り除く。小さいは芯を残したままでOK。ざっくり一口大以上に切っておく。
②キャベツも同じ程度の大きさに切っておく。じゃがいもは皮を剥いて一口大に切っておく。タマネギはみじん切り、ニンジンは皮を剥いて薄い輪切り、セロリは薄切りに。
③大きめの鍋にエキストラバージンオリーブオイルを半カップ入れ、みじん切りのタマネギと薄切りにしたニンニクを入れて強火にかける。
④ミキサーなどを使って豆をペースト状にします。ジュゼッピーナさんは全てペースト状にしましたが、お好みで半分〜3分の2程度はそのまま使ってもOKとのこと。
⑤豆を煮汁と一緒に全て鍋に入れて混ぜ、カットした野菜もすべて鍋に入れます。
⑥キャベツ類はなべから溢れ出ていても、煮るとしぼんで鍋に収まるので問題ありません。
⑦さらにトマトピューレ、塩小さじ2、こしょう適量を加えて、引き続き強火で煮る。時々かき混ぜながら強火で2時間煮込みます。アクは取り除く必要はありません。途中、味見をして、足りなければ塩や濃縮トマトを加えて調整します。
⑧1センチ程度に薄切りにした乾燥パンを入れてかきまぜてから、半日から一晩寝かします。しっかり寝かせることでさらに美味しくなります。食べる前に鍋底が焦げつかないよう弱火〜中火でかきまぜながら再び煮込んで「リボッリータ」の完成です。
食べる際にトスカーナ産のエキストラヴァージンオリーブオイルを上から回しかけ、黒こしょうをかけていただきます。
「うまく調理できたリボッリータは、トスカーナ料理の栄光の一つだ」と言われるほど、トスカーナの人たちが誇りに思っている伝統料理。日本人はイタリア料理にはなにかとチーズをかけますが、リボッリータに関してはトスカーナの人たちは口を揃えて「チーズはNG」と言い、トスカーナのトラットリアでもチーズがかけられていることはないので、チーズは加えずにお召し上がり下さい。
パッパ・アル・ポモドーロと同様、体調が優れない時や二日酔いの時、または旅の疲れが出て食欲がない時でもさらりと食べられる素朴な味わいのリボッリータ。一度に沢山作るとさらに美味しいので、ホームパーティーなどにもおすすめですよ。
このコラムはイタリア情報サイト「SHOP ITALIA」で掲載になったものです。
【トスカーナを代表する伝統料理「リボッリータ」、フィレンツェのマンマ直伝レシピ】
◆「あがるイタリア」&「SHOP ITALIA」のでコラム連載しています。過去の記事もこちらからどうぞ♪
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