イタリア映画を代表する映画のひとつ「ニューシネマパラダイス」、日本でもファンの方が多いと思います。私も大好きな映画のひとつで、特にあの音楽を聴くだけで、名シーンの数々がすぐ頭に浮かび、感動してしまいます。あの名曲を作曲した、世界的に有名な映画音楽の作曲家、Ennio Morricone(エンニオ・モリコーネ)のコンサートが5月16日、フィレンツェで開かれました。
エンニオ・モリコーネは1928年ローマ生まれ。御年86歳、今年の11月に87歳になります。偉大なイタリアの巨匠で、イタリア国民たちから、また世界中の映画ファンからとても尊敬されている作曲家です。イタリアではエンニオ・モリコーネを知らぬ人はいないほど、伝説的な存在。
(写真出典 ennio morricone オフィシャルサイトより)
モリコーネは、1960年代には同じくイタリア人の映画監督家Sergio Leone(セルジオ・レオーネ)とコンビを組み、レオーネが監督したイタリア製西部劇「マカロニ・ウェスタン」作品の数々の音楽を担当。アメリカの俳優クリント・イーストウッドが一躍有名になった「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」や「夕陽のギャングたち」「ウェスタン」の全ての作品で音楽を担当しています。そして1984年にレオーネの遺作となった「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(ロバート・デ・ニーロ主演)まで名コンビを続けました。
(写真出典 ennio morricone オフィシャルサイトより)
1986年に、ローランド・ジョフィ監督のイギリス映画「ミッション」の音楽を担当して以後、活躍の幅は世界的になり、1987年には「アンタッチャブル」でグラミー賞を受賞、1989年には「ニュー・シネマ・パラダイス」の作曲を担当。「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督ともコンビを組み、その後「海の上のピアニスト」「マレーナ」「題名のない子守唄」「シチリア!シチリア!」の作曲もモリコーネが担当しています。「マレーナ」ではアカデミー・作曲賞にノミネートされています。その後、2007年にはアカデミー賞で名誉賞を受賞、まさに世界的に偉大な作曲家です。
1963年から映画音楽を作曲し続け、最新の楽曲提供は一昨年の2013年。現在も世界ツアーを続けていて、半世紀以上も音楽活動の第一線にいます。実はモリコーネ、2003年にはNHKの大河ドラマ「武蔵MUSASHI」の音楽も担当。
偉大なイタリアの巨匠、モリコーネのコンサートは、フィレンツェで一番大きいコンサートホール、ネルソン・マンデラ・フォーラムで開かれたのですが、会場は超満員。86歳にしていまだに現役で作曲活動と指揮者としてコンサート世界ツアーを続けるモリコーネを一目見ようと大勢の観客が詰めかけました。訪れた観客は老若男女あらゆる年齢層の人たちで、いかに広い世代からモリコーネが愛されているのかよくわかりました。
コンサートの主な演目は以下の通り。
アンタッチャブル
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
海の上のピアニスト
続・夕陽のガンマン
ウェスタン
夕陽のギャングたち
マッダレーナ
ニュー・シネマ・パラダイス
マレーナ
アルジェの戦い
殺人捜査
カジュアリティーズ
ミッションアンコール:ミッション、夕陽のギャングたち
特に圧巻だったのは、ソプラノ歌手のSusanna Rigacci(スザンナ・リガッチ)を迎えて演奏された、セルジオ・レオーネとのコンビ作の数々の名曲。素晴らしい歌声がモリコーネの壮大な音楽に見事にマッチして、会場中が総立ちするほどの盛り上がりを見せました。この曲は最後のアンコールで再び披露され、観客全員を魅了しました。
(写真出典:Unipol Arena のホームページ)
コンサート開演21時、途中休憩が15分ほどで、アンコールは2回、終了はなんと23時半。86歳にして2時間半の指揮を最後まできっちり務め上げました。しかも、遠目から見ても背筋はまっすぐ伸び、きびきびした様子で歩き去っていく姿には衰えは全く見られず、40代、50代と言われても信じてしまうほどの歩きぶり。
モリコーネがいかにコンサートと音楽を愛しているかが伝わってくるコンサートで、色んな意味で感動し、感銘を受けました。あの指揮ぶり、歩きっぷりを見ていると、まだまだあと数年現役でコンサートツアーを続けるように思います。また何度でも足を運びたくなるコンサートでした。来日公演はここ数年開いていないようですので、ファンのみなさん、ヨーロッパでのコンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか。
ennio morricone コンサート・チケット情報
【2015年7月11日フランス・ニーム、9月12日イタリア・ヴェローナ、2016年2月18日ドイツ・ケルン】
http://www.viagogo.it/Biglietti-Teatro/Classica/Ennio-Morricone-Biglietti
ennio morricone official site: http://www.enniomorricone.org/
きたとしかず says
子供の頃うちにあった映画音楽全集で聴いた夕日のガンマンでモリコーネを知りましたが、その後ずっと有名曲を生み続けていて凄いですよね!当時親の世代の懐メロ的な感覚で聴いていた人が、「アンタッチャブル」や「ニューシネマパラダイス」といった自分の青春時代まっただ中を通って今も現役でコンサートに立ってることが不思議な気もします。
エンリコモリコーネのベスト盤を買ったのですが、代表曲が多いため、ニューシネマパラダイスの最も好きな曲が抜けていてちょっとがっかりしたことを思い出しました・・
Mako says
きたとしかずさん、コメントありがとうございます。既に伝説になっているような作曲家なので、まさかまだ本人がコンサートを開いているなんて私も最初は驚きました。他のコンサートの演目を調べてからチケットを購入したのですが、他のコンサートでなんとニューシネマパラダイスを一曲も演奏しない公演があったので、当日も演奏するか不安でした。代表曲が多すぎて、コンサートもダイジェスト版でどれもこれも短く演奏されたのは少し残念でした。でも、お気に入りの曲が聴けないよりは短くても聴けたのでよかったです。
azumesenecerou says
ニューシネマパラダイスの愛のテーマはエンニオモリコーネの息子のアンドレモリコーネの作曲が
正しいのです