「マコ、来週の木曜日空いてる?むしろ予定があっても空けてでも来る価値のある所へ招待するよ!」と、プロカメラマンの友人のMarco(マルコ)から連絡があったのは8月初旬。フィレンツェ出身で、職業がら美しい景色にも慣れているそのマルコが「いやいや、本当にすごいパノラマだから是非おいでよ。」と。一体何事だと尋ねると、「ところでヨガはしたことある?」と、とんちんかんな返事。マルコの返事によると、なんでも絶景パノラマを見ながらのヨガレッスンがあって、そのレッスンの様子の写真撮影依頼を受けて撮影に行くから一緒においで、ということらしい。
私は日本でも下手ながらヨガを何年もやっていて、イタリアでも2か所でヨガ・レッスンに通っていたので、ヨガ自体に抵抗はありません。イタリア語のヨガ用語にも慣れています。そもそも、ヨガは色々タイプはあるものの、日本でもイタリアでも基本は同じ。ネコのポーズはgatto(ガット=猫)だし、太陽礼拝も全く同じ。ただ、ここ最近はずっとさぼっていて、体も訛っていたのでへっぽこなポーズなどを写真に撮られるのは非常に恥ずかしい・・と、普通のヨガ・レッスンへの招待ならきっと躊躇して断っていたであろうに、そんなことに思いを馳せる余裕もなく、頭の中は「絶景パノラマ見てみたい~!」という好奇心だけ。ヨガレッスンが始まって「ほらほら、撮影するからしっかりレッスン受けて!」とマルコに促されるまで、恥をさらすことに頭が回りませんでした。そんなわけで、恥をさらしながらも絶景ヨガ・レッスン体験、受けてきてしまいました。
マルコとフィレンツェの街中で待ち合わせしてから一緒にレッスン会場に向かったのですが、その間も「いやあ、もうすごいんだよ。実はその場所でウェディングの写真撮影をしたことがあって、その時に家主と知り合ったんだけど、すごい絶景でね。」と興奮気味。マンションの最上階に向かい、屋上テラスにあがると・・・
「うおーーー!!」と思わず絶叫。ど~んと、目の前にフィレンツェのドゥオモが!このテラス、360度のパノラマが広がり、どこもかしこもフィレンツェの絶景。写真に映っていませんが、ドゥオモの左方向にはベッキオ宮殿が拝めます。
フィレンツェ郊外の丘陵にあるフィエーゾレも一望。
サンタ・クローチェ教会、サン・ミニアート教会、ミケランジェロ広場。360度フィレンツェのパノラマ。
緑の屋根はユダヤ教徒の教会、シナゴーガ。そして写真手前に見えているのはジャグジー!ここでは360度フィレンツェのパノラマを眺めながらジャグジーを楽しめます。なにがすごいって、ここはホテルではなく、なんと個人のお宅なんです。世の中にはすごいお宅があるものですね・・・。世界遺産の大パノラマに囲まれたテラスが自宅にあるっていうのは、こんなに贅沢なことはありません。友人のマルコに聞いたところ、オーナーはこの絶景パノラマ・テラスを活用して、ここでこれからヨガ・レッスンや料理教室を開いたり、またこの家を観光客に貸したりすることを計画している、とのこと。そのため、宣伝用にヨガ・レッスンの風景を写真撮影するべくマルコが依頼されたというわけでした。
興奮しながら写真を撮りまくっていると、「さあ、さあヨガを始めましょう」と先生の声が。その言葉にやっと我に返り、「やばい!へっぽこポーズを撮影されるんだった~」とようやく羞恥心が芽生えたものの、時すでに遅し。周りはさっさと着替えている。しかも「私、ヨガは今日初めてなの~」なんて言っているイタリア人の女の子もちゃんとヨガにふさわしい恰好をしているではないか。自分はというと、最近ヨガもしていなかったので、パジャマ代わりにしているジャージ姿という情けない姿。ますます羞恥心が募るが、ジタバタする時間すらない。しかも追い打ちをかけるかのように・・・
逃げも隠れもできない、「どセンター」の位置!きっとカメラマンのマルコは「ヨガのイメージからして、なんとなくアジア人が混ざっていたら雰囲気が出そう~」と思ったに違いない。そんなわけで泣く泣くど真ん中で恥をさらしてきたのですが、この写真をご覧のように、フィレンツェでしか味わえない景色の中でのヨガ・レッスンとなりました。
先生は南イタリア、カラブリア出身で、初心者にもできるようなポーズをメインに丁寧に教えてくれました。オーナーの友人関係は世界にまたがっているようで、他の参加者にはフランス人、ベルギー人もいて、国際色豊かな撮影となりました。
ヨガ・レッスンは日が暮れるまで、1時間半ほどかけて行われましたが、夕陽のピンクに染まるフィレンツェの街並みを見たくて見たくて、最後の方はヨガに集中できなくなってしまったほど。ヨガが終わると、私たちを待ち構えていたのはこの絶景でした。
絵葉書みたい~!ライトアップされたドゥオモは荘厳な雰囲気に。いつまでも眺めていたくなる景色でした。
ジャグジーもライトアップ。オーナーから「なんで水着を持ってこなかったの!ジャグジー気持ちいいのに~」と言われて、心底ガッカリしている自分にびっくり。いやいや、事前にジャグジーがあることを知らせなかったマルコに感謝せねば。もしマルコから絶景ジャグジーの存在を事前に聞いていたら、さらなる恥さらしできっと水着姿まで披露してしまったであろう自分を末恐ろしく思いながら、ジャグジーを眺めるだけにとどめました。
ヨガの後はテラスでオーナー自家製のスイカとウォッカのカクテルや、フィンガー・フードなどでパーティー。続々とオーナーの友人たちも集まり賑やかな夜となりました。ちなみに、今後観光客に貸し出すことも検討しているというお部屋はこちら。
ベッドになる予定の一角では、窓からドゥオモとベッキオ宮殿が見えます。文字通り「ドゥオモとベッキオ宮殿に見守られながら」眠りにつくことができるという贅沢。「こんなベッドなら眠るのがもったいなくて不眠症になってしまいそう」なんて思いながら、じーっとベッドを眺めていたら、一緒にヨガを行った友人のMonica(モニカ)が「あ~疲れた!今すぐここで寝てしまいた~い」と言って、ごろんと横になってしまいました。こうして、きっと一生に一度しかないであろう「ドゥオモとベッキオ宮殿を同時に眺めながら眠れるベッドにごろんとなるチャンス」をあっけなく失ってしまいましたが(涙)、一生忘れられない景色のオンパレードを目にシッカリ焼き付けて、大満足の中、帰路についたのでした。ありがとう、マルコ!!!
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