日本には馴染みの無い復活祭、英語ではイースターといいますが、イタリア語ではPASQUA(パスクワ)と言います。クリスマスと同様に学校も会社もお休みになり、お店も多くが閉まります。wikipediaでも記されているように「復活祭は基本的に春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日である」ため、毎年日付が変わり、今年は4月5日(日)が復活祭、そして翌月曜日は英語ではイースターマンデー、イタリア語ではPASQUETTA(パスクエッタ)などと言い、この日も祝日です。連休でお店が閉まるので、旅行者は注意してください。そういえば・・。私が東京の在日イタリア大使館へビザ申請に行った時のこと、平日の月曜なのに閉まっていて、「なぜ?」と途方に暮れたことがあるのですが、その日ことが復活祭でした。ということで、在日イタリア大使館・領事館もお休みになるのでご注意を。
さて、フィレンツェには、このパスクワの日に行われる伝統行事があります。フィレンツェのドゥオモの真ん前で爆竹が激しく弾けるイベントで、Scoppio del Carro(スコッピオ・デル・カッロ=山車の爆発)といいます。起源は350年ほど前にさかのぼるほどの伝統行事だとか。大観衆の前で、いかにもヨーロピアンなデザインの山車に仕掛けられた爆竹が次々に弾けます。私はこのイベントを2012年に見たので、この年に撮影したScoppio del Carroの写真とともにご紹介します。
ドゥオモ大聖堂の祭壇でColomba(コロンバ=鳩)の形をしたロボットに火が灯され、そこからワイヤーをつたってロボットが山車にたどり着いて爆竹に点火して行事が開始されます。そのことを何も知らずに見に行った私は、一緒に行ったイタリア人の友人から「鳩が出てきて山車に点火するのよ」と説明され、本気で「よく調教された、伝書鳩みたいなリアルな鳩が出てきて山車に点火して逃げ切る」というすごい妄想をしたのですが、出てきたのは明らかに偽物の鳩みたいなロボット。「なんだ偽物じゃん」というと、友人からは「当たり前でしょーが!」と一蹴され、そりゃそうだと納得。誰も目の前で鳩が丸焼けになるのを見たくもなければ、鳩が失敗した場合の観衆のシラけようとその埋め合わせはどうするんだと・・・ 🙄
ドゥオモの前は、イベントを一目見ようと集まった市民、観光客で大混乱。山車を取り囲んで分厚い人垣が。子供たちはお父さんの肩車に乗って観覧。真ん中で煙を上げ始めているのがCarro(山車)です。子供が耳を塞いでいるように、爆竹音もパンチが効いていて、刺激的なイベントです。
写真の左側に写っているのがドゥオモ。まさにドゥオモの真ん前で爆竹が弾けます。爆竹が終わると、花火が大聖堂の前に打ち上げられます。
山車自体が優雅な雰囲気なので、爆竹もヤンキー風にならないところがさすがイタリア流。爆竹が終わると炎が。
この日はイベントの直前まで雨が降っていて、奇跡的にイベント時間の午前11時頃の少し前に雨が止み、「なんだか神がかってる・・・」などと、イタリア人の友人と話していました。
ピュンピュン、火花が上に上がったかと思うと、途中からは花火のナイアガラよろしく、すだれ状に炎が散り、これまた風情があって美しかったです。さて、本来ならお次は白と赤と紫の3色のカラーの煙が上がる・・・ところだったのですが、この年はなんと不発。この行事は、全ての行事が滞りなくうまくいくと、豊作・繁栄・幸運がもたらされるという願掛けのような意味ももっているのですが・・・せっかく雨が奇跡的に直前に止むという幸運があったものの、最後の煙が不発だったために、「こりゃあ縁起が悪い・・」とイタリア人の友人が呟いていました。この願掛け、けっこうアテになり、確かに2012年という年はイタリアは実質GDP成長率がマイナスに転じるなど不景気まっしぐらの年になりました・・・。恐ろしい!ということで、今年のScoppio del Carro の動向が気になります 😐
およそ10分間に渡り爆竹、花火、炎(そして、本来は煙も・・・)のショーが繰り広げられた後、クライマックスは山車のてっぺんの飾りがクルクルまわり、旗が出てきます。そして、会場は歓声と拍手で沸き、イベントは終了です。パスクワのランチもナターレ(クリスマス)同様、家族と一緒に伝統的な食事をします。そのため、このイベントが終了するや否や、イタリア人たちはさっさと会場を去ろうとするので、大混乱。細い道はごった返しになりますので、ご注意を。
さて、もちろん今年もパスクワにScoppio del Carroは行われます。鳩(のロボット)が出てきて山車に点火するのが午前11時前後ではありますが、午前10時には既にすごい人だかりになっていますので、もし人垣の前方でしっかり見たいのでしたら10時よりも前に着くのがいいかと思われます。せっかく、パスクワの日にフィレンツェに旅行で滞在されているのでしたら、どうせ多くのお店も閉まっていますし、早起きしてドゥオモの前の刺激的な「山車の爆発」をご覧になってみてはいかがでしょうか?
明日もパスクワの話は続きます。どんな伝統料理を食べるのか、この時期スーパーで見かける謎の卵状の包みについてお伝えしたいと思います。
伏島 しげる says
これ、NHKのテレビでやってましたね。
スウェーデンの作家の話で有名になってます。(『ニルスの不思議な旅』の作者)
時代背景やその後のこの国の歴史を考えると、
『命がけで戦わない奴に平和を作ることはできない』
というお話のように思います。
Mako says
伏島しげるさん、コメントありがとうございます。
そうですか、NHKの番組で放送されたのですね。実際に間近で見ると、なかなか迫力があるんですよ!
メールでも詳しい起源などについて教えて頂きましてありがとうございました。とても勉強になりました。
これからもイタリアの歴史など色々教えて頂ければ嬉しいです。よろしくお願いします(^^)