今年3月にトスカーナ州とフィレンツェ商工会議所が共同で開催する「PrimAnteprima(プリマンテプリマ)」と呼ばれる、2022年ワインのキャンペーンがフィレンツェで開かれました。プリマンテプリマは、トスカーナ州ワイン生産各地で開催される2022年ワインのお披露目キャンペーンでしたが、これが想像を超える豪華な内容だったので、その詳細とトスカーナワインの動向についてリポートします。
午前中は国民的歌手ジャンナ・ナンニーニさんを迎えて記者会見&トスカーナワインPR
午前中はフィレンツェ市内のコンパニーア劇場で今回のキャンペーンの特別ゲスト、ジャンナ・ナンニーニさんを迎えて記者会見が開かれました。ジャンナ・ナンニーニさんはイタリアでは知らない人はいないほどの有名歌手ですが、トスカーナ州シエナの出身でご自身もワイナリーを所有してワインを生産していることから、今回のゲストに選ばれました。
記者会見でジャンナさんは「私の祖母と母は70ヘクタールの土地を持っており、音楽キャリアのおかげで引き継ぐことができました。ミラノへ行く前の9歳から18歳まで、チェルトーザ・ベルリグアルドというシエナ近くの田舎に住み、近所の農場の子どもたちと遊んだりしていました。収穫祭は私たち子供にとっては「パーティー」のような存在で、ブドウの房を大桶に入れて、歌いながら素足でブドウを粉砕したりしていました。長い道のりを経て私のワイン会社は有機ワインの会社となり、現在は5種類の赤ワインを生産しています。今夜は6種類目となる「La Rossa(ラ・ロッサ)=赤」という名前の赤ワインを皆さんに提供しますが、このワインは私の幼い頃の思い出に捧げられています」と話しました。
この記者会見はラジオやウェブでライブの生配信も行われ、その他、トスカーナ州知事、トスカーナ州副知事兼農業評議員、フィレンツェ商工会議所の事務局長などらが参加し、トスカーナワインの動向や輸出状況などが説明され、世界各国のジャーナリストたちは熱心に聴き入っていました。
夜はベッキオ宮殿500人広間にてオペラコンサートつき豪華ディナーを楽しみながら新ワインのお披露目
さて、イタリアのイベントのスケールの大きさを感じるのはここからです。今回のトスカーナ州主催ワインキャンペーンは、同日の夜に世界中からのジャーナリスト100人を招待した、2022年ワインプレビューイベント「アンテプリマ」が開かれました。アンテプリマは随分前から準備が進められ、トスカーナ州の役所に勤める知人からも「アンテプリマに招待されたら、絶対行った方がいいよ」と前々から予定を空けておくように念押しされていたのですが、イベント内容を見て友人が言っていた意味がよくわかりました。なんと、ベッキオ宮殿500人大広間で2022年のワインを飲みながらのフルコース夕食会だったのです。
フィレンツェを観光した人なら必ず訪れる、人気観光名所のベッキオ宮殿500人大広間。訪れた人たちが圧倒されるほど豪華絢爛な大広間ですが「あんな場所でワインを飲みながらフルコースディナーだなんて!そんな夢みたいな話があっていいのだろうか・・」とかなり興奮しながら、当日を楽しみにしていました。
はたしてそんな豪華な夕食会にはどんな衣装で行ったらいいものかと、結婚式に招待された時よりも悩んだくらいで、他の参加者たちに聞いたりしました。ありがたいことに、前述のトスカーナ州勤めの知人から「500人大広間はかなり寒いからね!衣装はそれなりに厚着にしたほうが良いよ」と事前にアドバイスしてもらったおかげで、長袖のロングワンピースに長袖の下着や厚手のタイツを履いていったので難を逃れましたが、まだ冬まっただ中の3月の大広間は確かにかなり寒く、年配のジャーナリストたちは「寒くて耐えられないから帰る」と途中で帰ってしまう人もいました。
500人大広間にはディナーのためのテーブルセッティンが行われており、普段とはまた違った雰囲気になっていました。主賓席以外は特に席順などもなく、自由に席を選ぶことができました。久しぶりに会うジャーナリストの知人たちとも再会して談笑していたところ、今回の特別ゲストの歌手ジャンナ・ナンニーニさんが登場し、ディナーイベントがスタート。まず最初に、イベント開催に先立って参加者全員が起立し、ウクライナの戦争被害に対して黙祷が捧げられました。
その後、司会者から挨拶があり、まずは最初のワインがテーブルに届けられました。ジャンナ・ナンニーニさんによる赤ワイン「La Rossa(ラ・ロッサ)=赤」です。出席者たちも初めて頂くワインに興味津々でした。
月並みな表現ですが非常に美味しく、同じテーブルのフードやワインのジャーナリストたちも、みんな口を揃えて「美味しい」と評価していました。
ディナーの内容はイタリアの一般的なフルコースで、以下のようなメニューでした。
●前菜:盛り合わせ
●プリモ:サンジミニャーノのサフランと花ズッキーニのリゾットのクレープ包み、キアニーナ牛のミートソース添え
●メイン:チンタ・セネーゼ豚のロース、3種コショウとボルゲリのヴェルメンティーノを使ったソース添え、サラダ
●デザート:カントゥッチなどの盛り合わせ
テーブルには、2022年を含む何種類ものトスカーナの赤ワインボトルが並んでいました。これらの赤ワインは、トスカーナのアンテプリマに参加するワイナリーからの提供で、参加者たちは好きなように飲むことができ、試飲会状態となっていました。
夕食の合間には、地元の音楽学校の生徒によるオペラコンサートがあり、ディナーにいっそう華を添えていました。
また途中に、トスカーナワインのPRビデオのお披露目や、ジャンナ・ナンニーニさんとトスカーナ州副知事で農業担当のステファニア・サッカルディさんによるトークも行われました。
夕食会の最後にはイベント主催者らが集まって集合写真を撮影し、翌日からスタートするトスカーナ各地の2022年ワインお披露目キャンペーンの成功を願って豪華ディナー会は終わりました。
トスカーナワインの2022年のトレンドや動向は?
さて、気になるトスカーナワインの動向ですが、全体の割合の3分の1が有機ワインを占めるほど、引き続き有機栽培ブームが続いています。
あいにく2021年は春の霜と夏の干ばつに見舞われたため、生産量は昨年比で7%減少し、これは過去5年で最も少ない生産量になります。ですが、世界への輸出は好調で昨年比で7.4%増加し、トスカーナワインを高く評価している国は、米国、ドイツ、カナダ、さらにスイス、英国、フランス、オランダ、日本、韓国ということです。
このコラムはイタリア情報サイト「SHOP ITALIA」で掲載になったものです。
【トスカーナ州2022年ワインの豪華お披露目イベント、ベッキオ宮殿500人大広間で開催】
◆「あがるイタリア」&「SHOP ITALIA」のでコラム連載しています。過去の記事もこちらからどうぞ♪
コラム一覧はこちら→ https://shop-italia.jp/author/mako-kobayashi
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