JFN系列ラジオ番組「ON THE PLANET」で話したキノコ事情
先週このブログでお伝えしたとおり、全国38局のFM局が加盟しているJFN系列のラジオ局番組「ON THE PLANET」というラジオ番組に出演しました。テーマは「イタリアのキノコ事情」でした。聴いてくださった方もいらっしゃいますでしょうか。今日はラジオで話した内容についてお伝えします。(※以下の内容は放送内容と全く同じではありません。出演に先駆け事前にまとめた原稿です。)
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• イタリアではキノコをよく食べるイメージがあるんですが、実際よく食べるんですか?
はい、実際よく食べます。イタリア人もキノコは大好きで後で詳しく話しますが、いろんな料理に使われます。
• とってきてキノコを、食べられるか鑑定してもらえるとも聞いたことがあるんですが?
イタリアは州や地域に寄ってレギュレーションが異なるので、ここからは私が住むトスカーナ州に限って話したいのですが、例えばトスカーナ州では各地域ごとの保健所にキノコを持ち込めば、無料で鑑定してもらえます。
最近ではイタリアもSNSが盛んですが、FACEBOOKのキノコファンページなどに登録すると、イタリア語でminologo日本語で菌類学者がそのページの運営者だったりした場合は、その人にキノコの特徴を添えて写真を送ると鑑定してくれることもあります。
• 真子さんもキノコ狩りは行くんですか?どんな所でとれるのでしょうか?
日本ではキノコ狩りに行ったことは一度もなかったのですが、フィレンツェでは周りの友人たちが「フンガヨーロ」、キノコ狩りをする人たちを意味するイタリア語なのですが、キノコ狩り大好きなフンガヨーロが多いので自然とキノコ狩りへ行くようになりました。実は先週も行ってきたところなんですよ。やはりイタリアでもキノコ狩りに行く場合は、まずは経験と知識のあるフンガヨーロについていくのが一番で、いきなり素人が山にむやみに入っても見つけることはできません。
トスカーナ州では、キノコ狩りをするのに住民票がある地域は無料、それ以外の地域では郵便局で半年または一年間有効のキノコ狩り許可証を受け取る手続きをします。半年で12ユーロ(1400円ほど)一年で24ユーロ(2800円ほど)で、一回に収穫していい量は一人頭3キロまでです。トスカーナ州以外ではキノコを勉強するコースを修了しないとキノコ狩りの許可が降りない州もあります。
キノコの胞子を巻くために、籐のカゴやミカンが入っているような網目のある袋などが必須でプラスチックバッグは厳禁です。
日本ではキノコというと秋の味覚というイメージでトスカーナでも同じですが、トスカーナでは冬以外ならキノコ狩りは楽しめます。特に収穫が多いのは6〜7月と秋です。とれる場所は山や丘陵地帯で天候や時期に寄って変わります。だいたい、雨が降ってから数日経過した頃に多く見つかるので、秋のこの時期は雨が降った後の数日後に山へ行くと、キノコ狩りの車が山道にずら〜っと並ぶようになります。
おしゃべり好きのイタリア人ですが、キノコ、特にポルチーニがとれる場所だけは絶対に周りに教えません。家族間だけの秘密で友人すら教えないほどなんですよ。キノコに関しては口が固いイタリア人なんです。
• イタリアではどのくらいの種類のキノコがあるんですか?
数え切れないくらいの種類があります。ただスーパーで販売されるようなキノコの種類は少ないです。そういえば、最近イタリアのスーパーでも「しいたけ」がそのまま「しいたけ」として販売されるようになりました。
キノコ狩りをしていても、毎回違ったキノコを見つけます。そのうち食べられるのは少なかったりしますが、スーパーマリオに出てくる水玉模様の真っ赤なキノコなどを見つけるとテンションがあがります。キノコ狩りは食べられるキノコを見つけるだけでなく、いろんなキノコを見つけることができて宝探しのような楽しみもあるんですよ。
• どんなキノコ料理があるんですか?
北イタリアの方ではガレッティ、フィンフェッリとも呼ばれますが、ガレッティという黄色いキノコがよく食べられます。フィレンツェを含んで真ん中から南にかけては日本人にも馴染みの在るポルチーニがよく食べられます。ちなみにポルチーノやポルチーニといった表記がありますが、ポルチーノは単数、ポルチーニは複数形になります。
今回はポルチーニについて話しますが、料理のバリエーションは豊富です。生ポルチーニはイタリア語でフリット、つまりフライにしてよく食べられます。シンプルに塩だけでいただきますが、甘みが感じられてとても人気です。それから、ポルチーニはピザの具にもなります。MARI E MONTI、海と山という名前のピザは魚介類とポルチーニを組み合わせたピザです。または、乾燥ポルチーニでもいいのですが、リゾットやパスタ、スープなど幅広いバリエーションの料理でポルチー二を楽しむことができますよ。
それからマッツァ・ディ・タンブーロという顔の大きさほどもあるおおきなキノコもトスカーナではよくとれるのですが、これは見た目にインパクトがあるので傘をそのまま切らずにグリルにして出すと華やかな一品になります。
• 日本で最高級キノコと言えば「松茸」ですが、イタリアではなんですか?
イタリアにはオーヴリという傘がオレンジのキノコが高級キノコになり、値段もポルチーニより高価です。味も香りもデリケートですが、秋のこの時期はレストランなどでも「オーブリ」の料理が出されます。生のままカルパッチョにしたり、スープやパスタなど様々な料理で楽しめます。
• イタリア人にとってキノコはどんな存在ですか?
イタリア人にとってキノコは「伝統」です。イタリア人は若者からお年寄りまで伝統的にキノコ狩りを楽しんできました。もちろんポルチーニなど食べられるキノコを探すのも目的ですが、それだけでなくキノコ探しを楽しみながら、深い静けさに包まれた山や森の中を散策するのは、イタリア人にとってなによりのリラックス方法なのだそうです。
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◆来月11月21日(木)の深夜1時10分〜(実際には11月22日金の午前1時10分〜)にも同番組に出演することになりました。内容は「イタリアの新ワイン NOVELLO(ノヴェッロ)」について」です。こちらもどうぞお楽しみに♪
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