北イタリア、ヴァッレ・ダオスタ州へ
1月4日のブログポスト「Felice Anno Nuovo! イタリアにまつわるクイズも!」の最初のクイズの答えの州は、既に山口さんからコメント欄でお答えいただいた通り、北イタリアのValle d’Aosta(ヴァッレ・ダオスタ州)でした。ヴァッレ・ダオスタ州は、面積・人口・人口密度においてイタリア最小の州で、イタリア最北端の州でフランスとスイスの国境に隣接しています。公用語はイタリア語とフランス語なので、街中の看板がイタリア語とフランス語の両方が併記されていました。アルプス山脈に囲まれた景色は、スイスのようなイメージ。
ヴァッレ・ダオスタ州の小さな街、Pont Saint Martin
12月31日、北イタリアへ年末年始を過ごしに旅行に出かけ、最初に到着した街がヴァッレ・ダオスタ州の玄関口にあたるPont Saint Martin(ポン・サン・マルタン)という小さな街。イタリア語とフランス語を学んだことのある人ならお気づきの通り、街名はフランス語です。イタリアの街なのにフランス語の地名がついているなんて、単一言語の日本人には不思議な感じがします。Pont(ポン)とはフランス語で「橋」という意味で(イタリア語はPonte=ポンテ)、地名は街の中にあるサン・マルタン橋に由来します。
サン・マルタン橋を建造したのは古代ローマ人。紀元前に建てられたので実に2000年以上の歴史を持ちます。夜はライトアップされ、日中とはまた違った雰囲気に。
カウントダウン・ディナーは4時間以上ひたすら食べまくり!
昨年の年末年始に訪れた南フランスのマルセイユ(ブログ記事はこちら→「南フランスの旅(1)マルセイユ」)では、カウントダウンディナーを予約していなかったので、フランス料理レストランはどこも満員で入れず・・といった悲しい思い出があり、今年は年越しディナーは事前に予約しました。予約したのはポン・サン・マルタンの市街にあるRistorante Crabun(リストランテ・クラブン)のカウントダウン・ディナー。予定開始時間の8時に着くと、まずはスパークリングワインでお出迎えされました。
カウントダウン・ディナーはメニューは決まっています。地元ヴァッレ・ダオスタ州の郷土料理が盛り込まれ、食べる前から期待大。メニューのよると、アンティパスト(前菜)、プリモピアット(パスタ類)が2皿、セコンドピアット(メイン料理)が1皿、デザート2種類。クリスマスの時に食べ過ぎてお腹が痛くなったばかりなので(イタリアのクリスマスの食事はこちら→「イタリア人はクリスマスに何を食べる?」)、ちょっと少なめに見えるメニューで安心していたのですが・・実はこのメニューが”曲者”だったのです。
アンティパスト(前菜)で既にお腹いっぱいのピンチに
普通、アンティパストはサラミやプロシュート、チーズなどの盛り合わせが”1皿”出てきます。
一番最初に出てきた一皿がこちら。ヴァッレ・ダオスタ産のプロシュート、サラミ、ラードの盛り合わせ。普段は苦手なラードなのですが、ヴァッレ・ダオスタのラードは脂っこくなく美味しく頂けました。それからこのサラミが絶品!トスカーナ等のサラミは乾燥して硬いですが、このヴァッレ・ダオスタのサラミはしっとりやわらかで、甘味もあります。特徴としてポテトが入っているのだそう。これは今まで食べたことの無い味でとっても美味しく、お土産に買って帰ったくらいです。ヴァッレ・ダオスタに行く機会のある方いらっしゃいましたらお勧めします。さて、アンティパストは思ったより少なかったので安心していたところ、二皿目が登場。
プリモピアットのメニューではないので、まだアンティパストが続いていることが判明。これだけでけっこうなボリュームなので、既に不安信号が点灯。これは嫌な予感がしてきたぞ・・・と不安になりながら食べ始めたのですが、これまた絶品!美味しいのなんの。上の写真、左はFARRO(ファッロ)という麦のサラダに、クリーミーなヴァッレ・ダオスタのチーズを巻いたプロシュートが載ったもの。真ん中はパプリカのトマトソースがけ。右は魚のエスカベージュ。この魚のエスカベージュ、日本料理の魚の南蛮漬けにソックリ。思いがけない場所で、懐かしい日本の味(れっきとしたイタリア料理ではありますが・・)に触れ、感動してついついペロリと全部平らげてしまいました。
まさかアンティパストが3皿も来るわけがない・・と不安になりながら、よくよくメニューをもう一度見ると、「Antipasti caldi e freddi=アンティパスト・カルディ・エ・フレッディ(冷たい前菜と温かい前菜)」と書いてある。これまでの2皿は全て冷たい前菜。ということは・・・
じゃ~ん!笑っちゃうほどボリューミーな「温かい前菜」が登場してしまいました。これでもうノックアウト。なんと前菜だけでお腹がいっぱいになってしまうという異常事態に。この後、パスタ料理が2皿、メインの肉料理が1皿、デザート2種類なんて考えただけで途方に暮れてしまいました。ああ、別腹があと2~3個は欲しい・・・。
「クリスマス、食べ過ぎの悪夢」の再来確実になり、弱ったなあ・・と思いながら「温かい前菜」を食べたところ、やっぱりとっても美味しい。上の写真、左から時計回りに、レンティッケ(豆)煮とコテキーノ(豚のサルシッチャ)、フランのヴァッレ・ダオスタ名産チーズ”フォンティーナ”がけ、ゴルゴンゾーラチーズ詰めパイ、チーズとプロシュートを挟んだ卵料理。特にヴァッレ・ダオスタ名産のとろけるフォンティーナチーズが絶品。「後がまだまだ長いから気を付けろ!」と頭の中では警告を出しているものの、美味しくてやっぱりほぼ完食してしまい、もう先のことが考えられなくなってしまいました。
Risotto con carciofi e jambon fume’
アーティチョークと燻製ハムのリゾット
Tagliolini caserecci di farro al ragu’ di capriolo e polvere di olive
鹿肉のミートソースの自家製タリオリーニ、オリーブパウダーがけ
Guanciale di vitello al Donnas con purea Arlecchino
子牛のほほ肉の地元ワインDonnas煮込み、ピューレ添え
イタリア人は本当によく食べます。周りの人たちを見渡すと、年配の人たちでもけっこう完食をしている人たちがちらほらいて驚かされました。私はアンティパストで既に満腹になっていたため、最後の方はなんだかマラソンでもしているような気分になってしまいました。「完食まで残りあと・・」と、年末カウントダウンではなくメニューカウントダウンをしながら食べていたように思います。でも、どれもこれも本当に美味しく、食いしん坊な私はやっぱりどれもこれも味わってみたい誘惑に負け、ほとんど食べてしまいました。ワイン煮込みのほほ肉はほろほろっと溶けるように柔らかく、限界を超えながらも完食。この時、既に4時間近く経過していました。4時間もひたすら食べ続ける!なんともマラソンみたいなイタリアの年越しディナー。
Cornucopia al cacao con mousse al cioccolato bianco e nocciole
ホワイトチョコレートとヘーゼルナッツのムース、カカオ・コーン添え
デザートは別腹・・のはずですが、限界をとっくに超えているお腹具合。でも食べてみたい誘惑に負け、一口パクっと食べたところめちゃくちゃ美味しい!このムースが甘すぎず絶妙な柔らかさでペロリ。しかし、ここで胃もたれも感じ始め、消化促進パウダーを服用してしまいました。イタリアでは胃もたれとの闘いがけっこう頻繁にあるので、この消化促進パウダーを持ち歩く習慣がついてしまいました。ああ、これがあって本当に良かった!(この消化促進パウダーについてはこちら→「イタリアで「胃もたれ」になったらコレ。」どこのスーパーでも簡単に手に入るので、旅行中に胃もたれになった時の参考にどうぞ。)
レストランはほぼ満席。家族連れ、友達グループ、カップル、と様々な人たちで大賑わい。と、そこへ突然、レストランの人がマイクを持ち、「間もなく新年です」とアナウンスが。全員にシャンパンが注がれ、世界共通お決まりのカウントダウン「10、9、8、・・・」の合唱。そして0時になると全員で「AUGURI(アウグーリ)=おめでとう!」と言い合いながら、シャンパンで乾杯をしてお祝いしました。クラッカーを鳴らすとか、音楽がかかるとか、そういった演出も少しはあるかなと思いましたが、ずいぶんあっさりとしたものでした。
Panettone con salsa al Muscat di Chambave
パネットーネ、シャンバーブのリキュールソースがけ
カウントダウンが終わると、やっとここまで来た最後の一皿のパネットーネが。パネットーネはパスして帰るお客さんもいましたが、私はどうせなら思い切って食べてしまおうとパネットーネまで食べました。このソースもまた絶品でした。達成感は非常にあるカウントダウンディナーでしたが、新年早々、胃もたれに苦しんだことは言わずもがなです。食いしん坊にもほどがある・・と後から猛反省したもののあとの祭りでした。だけど・・・北イタリア料理、何から何まで本当に美味しかったですよ!ヴァッレ・ダオスタのワインもすっかり気に入りました。
小さな田舎町のポン・サン・マルタンで迎えた新年。レストランの賑やかさからは一転、市内は人っ子一人いない静かでひっそりとした夜でした。
さて、次回は重~い胃袋を抱えて向かったヴァッレ・ダオスタの州都Aosta(アオスタ)などについてご紹介します。こんなに沢山食べた翌日ですが・・・やっぱりいっぱい食べてしまいましたので、まだまだヴァッレ・ダオスタの郷土料理が登場しますよ!
【北イタリアの旅(2)お城だらけのロマンチックなヴァッレ・ダオスタ】
Risorante Crabun(リストランテ・クラブン)
URL: http://www.crabunhotel.it/ristorante
住所: Via Nazionale 3, 11026 Pont-Saint-Martin Valle d’Aosta
Tel: +39 0125 806069
Fax: +39 0125 805516
きたとしかず says
思い切り笑えました(笑)
イタリアのコースはほんとうにちょっと気を抜くと食べられないくらいの量ありますね。
しっかりした食事に行く日は前日から断食して備えていましたが、それでもデザートは軽いものにしないともうだめってことが多かったのを思い出し笑えました。
fuminってブドウはアオスタの土着品種らしいですが、地元ならではのワインというのもイタリアらしい楽しみですね。
Mako says
きたさん、コメントありがとうございます!
笑って頂けてよかったですが、本人は本当に苦しい思いをしました(^^;)今、思い出すだけでも胸やけがします。。。食べ物を残すのが大嫌い&生まれながらの食いしん坊なので、目の前にあるだけ全部食べてしまい・・反省。イタリア人はなぜあんなに量を食べるのに激太りが少ないのか不思議です!隣のテーブルの年配女性なんてペロリとほぼ全部平らげていました。
イタリア旅行はご当地ワインを飲む楽しみがありますよね~。旅先では絶対にその土地のワインを飲みます!アオスタのワインもとっても美味しかったですよ~。