ミラノ万博閉幕まで残りわずか
出足が不調だったミラノ万博ですが、途中から開館時間を早めたり、夜入場割引券の発行などの工夫を重ね、今では連日大賑わいを見せています。そんなミラノ万博も今月末で閉幕、残すところわずか4日となりました。このミラノ万博で、開催国イタリア館を押しのけて一番人気となっているのが日本館。日本館だけで200万人の入場を見込んでいます。日本館が大人気という記事はこちらもどうぞ。週刊新潮の取材協力で、行列待ちをしたイタリア人たちに直撃インタビューをしました!→「今週の「週刊新潮」はミラノ万博特集!日本館9時間待ちの謎に迫っています!」
イタリアでも日本館の人気ぶりの話題で持ち切り!イタリアンジョークまで登場
ミラノ万博に行った人たちの間では「日本館の行列すごかった?」というのがお決まりの挨拶になっているほど、イタリアでもその人気ぶりの話題で持ち切りの日本館。私が取材協力で訪れた10月9日・10日も、6~8時間待ちとすごい状況でしたが、現在ではさらにすごいことに。イタリア人にとっても、イタリア人がこんなに行列をつくるとは驚きで、ついにはこんなジョークまで飛び出しています。
そんなに待つなら日本へ行けちゃうじゃん!
上の写真は日本館の待ち時間10時間(!!)の看板を撮影した写真の上にイタリア人の誰かがミラノのマルペンサ空港から東京の成田空港までの飛行時間を載せています。この写真がSNS上などで拡散されるほど、イタリアでも日本館の行列は話題沸騰中です。イタリア・日本間の飛行時間は12時間弱ですが、日本館入場待ち時間10時間はその飛行時間に迫る勢いとなっています。10時間も待つイタリア人たちを、他のイタリア人があきれる始末。
10時間待ってでも見たい日本館とは?
では、そんなに待ってでも見たい、一番人気の日本館とは?2階建て、6つの展示室で構成されたパビリオンは全体を見るにはおよそ40分ほどかかる、ミラノ万博でも最大規模のパビリオン。最後には入場者参加型のショーが待っています。今から飛行機チケットを取って来場するには日数的にも厳しい状態ですので、中の様子を写真で一挙ご紹介!
日本館のメインメッセージは【日本の農林水産業や食を取り巻く様々な取り組み、「日本食」や「日本食文化」に詰め込まれた様々な知恵や技が、人類共通の課題解決に貢献するとともに多様で持続可能な未来の共生社会を切り拓く。】、サブメッセージは「いただきます、ごちそうさま、もったいない、おすそわけの日本精神が世界を救う。」です。
日本の伝統的木材建築でお出迎え
入場者の目を引くのが、こちらの釘を一切使わない木材建築の壁。法隆寺に代表される日本の伝統的木材建築で建てられた日本館の壁は日本で加工、イタリアにてイタリア人によって組み立てられた日伊共同作業の賜物。アートや伝統文化を愛するイタリア人からも大好評で、「なんて美しいの!」という声が上がっていました。
プロローグは「人と自然がともに生きる相生(あいおい)の世界」
書家・アーティストの紫舟(ししゅう)さんによる書画の展示で日本館は始まります。雨に恵まれた日本と、人による環境破壊と再生が書画で展開されます。
第一展示室は自然と寄り添い、多様な恵みを育む日本の食の産地を表現
プログラマーやエンジニアなどスペシャリストで構成されているウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」が出かけた展示室。イタリア人にインタビューした結果、一番人気だった展示室がこちら。光をうまく扱った独特の世界観があり、水田の稲を表現したシーンではイタリア人たちから感嘆の声が上がっていました。
第二展示室は日本食がテーマ
第二展示室も第一に引き続きチームラボが手掛けています。第二展示室は回廊、コンテンツが流れ落ちる滝、日本食のショーケースの3つで構成されています。
こちらもイタリア人たちから人気のあったコーナー。日本の農業、食、食文化に関する1000を超えるコンテンツが滝とともに流れてきます。展示の下にスマートフォンを入れるところがあり、予め日本館のアプリケーションをダウンロードしているスマートフォンをその下に入れると写真コンテンツをスマートフォンに取り込むことができるという仕組み。テクノロジー&スマートフォン好きのイタリア人たちも興奮気味に楽しんでいました。
日本食を、日本のお家芸「食品サンプル」にて紹介する展示コーナー。イタリア人にとって初めて見る日本食もあり、みな興味津々。
第三展示室は「日本のクリエイティブ・ソリューション」
京都造形大学の竹村真一教授や、クリエイティブ・ディレクターの清水亮司氏が手掛けた第三展示室。ここでは、世界の様々な食料生産や食生活を、互いに認め合い尊重しながら、独創性に富んだ取り組みを行う日本の姿勢を紹介しています。とっても万博らしい、非常にまじめで最新テクノロジーも披露。
第四展示室は伝統と革新がもたらす”クールジャパンダイニング”
手掛けたのはデザインオフィスnendo代表の佐藤ナオキ氏。四季折々の食材や料理に合わせた食器が日本の食文化には欠かせない役割を演じている様子を表現。あえて色を無くすことで、和食器の質感を際立させて表現しています。伝統の技が現代にも伝承され今も日常で使われている様子は、同じく多くの伝統文化を今なお継承しているイタリア人に共感されます。
最後のショーへの入場を待つ間の展示室では、日本の最新ライフスタイルや日本各地の観光情報など様々な日本の映像を楽しむことができます。
最後の展示室(シアター)では、日本食は世界をつなぐ「地球食」をテーマにしたショーを開催
シアターはレストランスタイルとなっていて、来館者がダイニングテーブル風の客席に着席してショーを楽しめます。円形劇場スタイルで、センターステージでは演出の進行に合わせてキャストがパフォーマンスを行います。
日本のお箸を使って、テーブルのタッチパネルの画面を操作。ただショーを見るのではなく、観客も参加できるエンターテイメントショーです。
食がテーマのミラノ万博、そのテーマに合わせて日本は食を通して、また得意分野のテクノロジーを駆使して、日本文化を見事に表現できていたと思います。さすが日本という、細部に渡り神経が行き届いた細やかな展示と演出の数々への評価は、万博一の人気&入場待ち10時間という結果に表れているのではないでしょうか。しかもすごいことに、日本館は万博で最大規模を誇り、これだけ丁寧に作り込んだパビリオンでありながら、万博の開催にしっかり間に合わせて完成させたそうです。日本では期日に間に合わせると言うのは当たり前のことですが、海外ではそうではありません。実際にミラノ万博でも開幕時に完成させたパビリオンの数は少なく、日本館とドイツ館などだったそうです。そういったところにお国柄が現れているのも面白いですが。日本館はその完成度の高さ・充実した展示内容において抜群の存在感を示しました。こういう機会に「日本って素晴らしい」ということを世界に示せる日本はやっぱりまだまだ飛躍の可能性を秘めている国だと実感でき、日本人としてなんとも嬉しく誇らしい気分になれるミラノ万博になりました。きっとミラノ万博を振り返る時、「あの日本館の行列の長さは伝説だよね!」という口コミが忘れ去られる日はないでしょう。
なぜ日本館はこんなに人気が出た?イタリア人に大人気だった日本食は何?週刊新潮の取材協力で日本館を見たイタリア人たちに直撃インタビューをした記事も併せてどうぞ→→「今週の「週刊新潮」はミラノ万博特集!日本館9時間待ちの謎に迫っています!」 また、パビリオンで人気のドイツ館を見たからこそわかる、日本館の良さについての記事はこちら→→「ミラノ万博ドイツ館は優等生過ぎ?他館を見てわかる日本館の良かった点。」
soeda takeo says
レポートありがとう。いつも日本人のイタリアへの片思いばかり思いきやかれらも日本への興味があるんですね。
Mako says
soeda takeoさん、コメントありがとうざごいます。日本人がオシャレなレストランと聞いてイタリア料理をイメージするようにイタリア人にとっては「SUSHI」こそがオシャレな料理なんですよ。このブログではこれからも外国にいるからこそ見えてくる日本」について書いていきたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
井上博喜 says
記事素晴らしいですね。Facebookの友達の記事から飛んできました。イタリア人が何故並ぶのか?その内容が記事としてわかりやすく感動しました。
Mako says
井上博樹さん、コメントありがとうございます。実際に並んだイタリア人大勢にインタビューしましたが、みんな「並ぶ価値あった&とっても良かったよ~」とにこやかに答えてくれまして、本当に嬉しく思いました。イタリア人が実際に見て気に入って、他のイタリア人に勧めた効果の最大10時間待ち時間。イタリア人は待つことが嫌いなので日本館は偉業を成し遂げたと本当に思います。日本人として嬉しいですね!
Mako says
soedaさん、井上さん、サイトの更新の際に一時期コメントが削除されてしまいまして大変失礼いたしました。コメントを頂けるとブログを続ける励みになりますので、コメントはとっても嬉しいです。これからもよろしければまたコメントくださいね。