イタリアは観光大国なので、どこにいっても観光客で溢れかえっています。フィレンツェの中心地には、地元のイタリア人から「観光客相手のレストラン」と呼ばれる、イタリア人が行かないレストランが沢山あります。じゃあ、イタリア人はどこで食べるのか?先日、昔のイタリア映画のイメージそのもののような、地元のイタリア人たちでいっぱいのレストランでランチをしました。
フィレンツェから約50キロ、車で約一時間の小さな街San Godenzo(サン・ゴデンツォ)にあるAgnoletti(アニョレッティ)というレストランです。大家族、ご年配の夫婦たち、イタリア人のみの世界。入ってすぐ、「うわあ、イタリアのレストランのイメージそのもの!」と思いました。そして、料理も超王道のトスカーナ料理の数々。イタリア人は昔ながらの伝統レシピが大好きです。みんなが知っている味だからこそ、少しでもまずいとお客にわかってしまう。それだけに妥協は許されないので、実はとても難しいのが王道レシピだと思います。地元のイタリア人が昔から通っているレストランの超王道トスカーナ料理はこんな料理です。
まず前菜(Antipastoアンティパスト)の盛り合わせ。鉄板は、写真右から二つ目の、パンの上にレバーパテを塗ったCrostini(クロスティーニ)。これは必ずと言っていいほど出てきます。私は苦手なのでいつも食べられなくて残念に思います。それから真ん中の黄色くて四角いのがPolenta Fritta(ポレンタ・フリッタ)というトウモロコシの粉で作るポレンタというプレを揚げたもの。そこへキノコのソースがかかっています。ポレンタはトスカーナ料理ではないですが、今ではトスカーナでもよく出される料理です。そして一番左の料理も定番トスカーナ料理、Salsiccia e Stracchino (サルシッチャ・エ・ストラッキーノ)。ソーセージとクリームチーズを混ぜあわせたものをパンの上に乗せてオーブンで焼く一品です。
イタリア料理は、前菜、一皿目、二皿目(メイン)という風に一品づつ順番に出てきます。そのためお皿もこの通り。3皿重なっています。前菜を食べ終わったらウェイター(イタリア語ではCameriere/a カメリエーレ(男)/ラ(女) )が前菜の皿と、重なったお皿の一番上を持っていきます。そして、一皿目、二皿目と進むにつれ目の前のお皿も減っていきます。お皿が重なっているとなんとなく優雅に見え、なおかつ効率的なので一石二鳥のアイデア。
一皿目(primo piatto プリモ・ピアット)。イタリアではプリモ・ピアットにパスタやリゾットなどの料理が出てきます。これを食べ終わると、メイン料理のお肉や魚が出てきます。うっかりプリモを食べ過ぎるとメインの時までにお腹いっぱいになってしまいます。プリモはこのように大きな皿に全員分盛られて出てきて、それぞれが欲しい分づつ取分けて食べます。こちらのパスタはキノコのパスタ。パスタが手打ちなのでモチモチしてとても美味しいです。黄色いので、なんだかちょっと焼きそばみたいに見えますね?!
こちらも手打ちパスタ。ミートソース(イタリアではRagù ラグーと呼ばれます)がかかっています。このように大皿はアルミのお皿で出てきて、個人がそれぞれ食べるお皿は陶器のお皿、というのが一般的です。。詳細についてはこちらもどうぞ→【イタリアでは「ありえない!」日本でお馴染みのパスタ料理とは?】
こちらもまだまだプリモピアットです。これもよくイタリアで食べられる、リコッタチーズとホウレンソウの詰め物のラザニア。
Agnelottiの名物、Tortelli di Patate al Ragù(トルテッリ・ディ・パターテ・アル・ラグー)。この料理が一番美味しかった!トルテッリ、日本ではラビオリと呼ばれますが、この皮がツルっとしてて、とっても柔らかく、口に入れると溶ける感じ。この皮も手打ちハンドメイドですが、これだけ柔らかく作るのは難しいのだそう。中にはペースト状にしたジャガイモが入っています。イタリア人たちも、これは美味しいと絶賛していました。
私はいつもメイン料理、Secondo Piatto(セコンド・ピアット)の頃には、お腹がいっぱいになってしまいます。イタリア人は本当にとってもよく食べるんです。トスカーナ料理のメインの王道はビステッカ・アラ・フィオレンティーナという高級キアニーナ牛のTボーンステーキ(こちらもどうぞ→【松阪牛育ちの私がお勧めするフィレンツェ名物ビステッカのレストラン】)か、上記のお肉のグリルの盛り合わせ。これにローストポテトやホウレンソウのソテー、茹でたカリフラワーなどがつきます。上の写真ではポテトとさらにカルチョーフィのフライも。ただ塩で焼くだけという超シンプルな料理ですが、トスカーナの人たちはこの料理を普段からよく食べます。ただ焼くだけなので、素材選びが重要。みんな、行きつけのお気に入りのMacellaio(マチェライオ=お肉屋さん)でお肉を買います。イタリア人から聞いた話ですが、某最大手イタリアの車メーカーのオーナーもビステッカ(Tボーンステーキ)を自宅で食べる時には、わざわざ遠方のトスカーナのお気に入りのマチェライオで買うんだそうです。
もうお腹がいっぱいで動けない・・という時にデザートがど~んと出てきます。この日もしっかり胃もたれになってしまいました。→「イタリアで胃もたれになったらコレ」もあわせてどうぞ。この日は誕生会だったので、お祝いのケーキが登場。イタリアを代表するデザート、ティラミスです。ちなみに、ティラミスってどういう意味かご存知ですか?Tirami su!と書くのですが、直訳すると「私を引っ張り上げて!」、つまり「元気にしてちょうだい!」という意味なんです。日本でも若者用語(?なんて書いている時点で老けこんだ気分になってしまいますが 😳 )で「あがる」だの「アゲアゲ」だのがありましたが、まさにそんな言葉にふさわしいデザートなんですよ。最後はみんなCafe、イタリアでカフェと言えばあの苦い濃いエスプレッソ、を飲んで大ランチ会は終了します。一皿一皿出てくるので2時間はかかります。
イタリア人が食べている超王道トスカーナ料理、いかがでしたか?見ているだけでお腹いっぱいになりますが、イタリアにいらっしゃる機会がありましたら、せっかくですから、よく食べて飲んでしゃべって、イタリア人気分を味わってみてください!
Agnoletti (アニョレッティ)
住所: Via Forlivese 64, 50060 San Godenzo, Italia
電話: +39 055 8374016
Tripadviser HP: http://www.tripadvisor.it/Restaurant_Review-g1987380-d2140352-Reviews-Agnoletti-San_Godenzo_Tuscany.html
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