本日9月8日発売、週刊新潮のイタリア関連記事をお手伝いしました。
週刊新潮のイタリア関連記事のライターをしていますが、本日発売の9月15日号にて、お手伝いした「レンツィ首相が立ち上げた面白い制度」が紹介されています。私の名前も記事内にちらっと掲載させて頂いているので、どうぞお買い求めの上、ご覧くださいませ。日本人もその恩恵にあやかることができるんですよ。
Yahoo!ニュースでも紹介されています
→ 「18歳に500ユーロ支給」 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160917-00512447-shincho-int
伊・レンツィ首相、「卑劣なテロに対し、我々は”文化”で戦う!」
今年はフランスやベルギーでテロが相次ぎ、ヨーロッパ中でテロ対策がささやかれていますが、イタリアの若き首相、マッテオ・レンツィ首相は「我々は文化を愛しています。文化でテロに反発する!」として、いかにも文化大国のイタリアらしい面白い制度を立ち上げました。
イタリア在住18歳に対し、”文化ボーナス”500ユーロを支給
それは、イタリア在住の18歳、57万4000人全員に対し、映画館や美術館、コンサートで使えるクーポン券500ユーロ=5万8000円相当を支給すると言う制度。「18app」というアプリケーションを利用して、イタリア国内の博物館、公園、
レンツィ首相は「18歳の若者にイタリア文化の素晴らしさを伝え、若者がテロリストに走らぬようにする制度」という目的で、この制度を立ち上げ、現在制度実施に向けて準備を進めています。
支給対象者は2016年に満18歳になる若者で、その中には正式な滞在許可証を持った外国人も含まれます。つまり、2016年に18歳になる日本人も、学生ビザを持っていればこのクーポン券を利用できるのです。イタリアの美術館、映画館、コンサートなどの入場券やチケットは日本に比べるとぐっと安いことが多いので、58000円分のクーポン券は日本の感覚以上に価値が高いです。
18歳イタリア人の反応は・・・?
イタリアの新聞、corriere della seraに18歳たちの意見が紹介されています。
(1)Angelica Magazzino(アンジェリカ・マガッツィーノ)プーリア在
「初めてこのボーナスを聞いた時は、「やっと!」と思っ
(2)Riccardo Cavagnera(リッカルド・カヴァニェラ)ミラノ生まれ、
「本音を言うと、芸術や美術館、一般的な文化活動に情熱はありま
(3)Lara Fantone(ララ・フォントーネ)ピエモンテ出身、3月に18歳になった。高校卒業後はサウンドエンジニアか写真の学校への登録を考えている。写真と音楽が大好き。
「いつも首からカメラをぶら下げて旅行しています。バイオリンと少しピアノも演奏します。音楽スクールに通っています。文化ボーナスの知らせを聞いた時は他の18歳と同じように嬉しかったです。本か映画や劇場のチケットを買うのに使おうと思っています。」そうは言うものの、本音も隠しません。「私には、この500ユーロはあまり快く使うことはできません。国家レベルで考えたら、この金額は膨大です。もっと大切なことに使えたのではないかと思う。同じく若者を助けるにしても。例えば、雇用促進などに使ったらどうか。それになんでまた、よりによって私たち18歳なの?私にはものすごく政治がらみに思えます。今年、人生において初めて投票を行いますが、このボーナスを受け取った人は投票箱でこのボーナスを思い出すでしょう。」
(4)Giulio Serafini(ジュリオ・セラファーニ)ペルージャ在住 11月に18歳になる高校生。言語学が好きで、心理学(あるいは技術管理)を学びたいと思っており、ギターが弾けます。
「数年前にギターをプレゼントされました。YouTubeですべての今のビデオチュートリアルを見て、独学で学びました。文化ボーナスについて聞いた時、唖然として同時にとっても嬉しかった!絶対にコンサートのチケットを買うために使います。まだコンサートに行ったことが無いので。それから多分映画のチケットを買います。映画の年間パスが買えたらいいな。」
(5)Eleonora Rossini(エレオノラ・ロッシーニ)ペーザロ在住、6月に18歳になる高校生。4年間、イギリスに住んでいたことがある。写真撮影と映画や劇場に行くのが大好き。
「文化ボーナスは私たち若者の文化への欲求を高めるための取り組みです。私たちにこのお金を与えることは、私たちの未来への投資につながります。まあ、このお金は何か他のことへ使用することもできたと思うけど、私はそれを受けられて嬉しいです。多くの人々にとって、刺激を受け取るための良い機会だと思います。私は劇場や映画館の年間パスのためにボーナスを使います。私にとって、文化ボーナスがあるなしどちらにしろそういったことに対してお金を使いますが、このボーナスのおかげで確かにもっと多くのことができるようになると思います。」
(6)Miftah Corsi(ミフタ・コルシ)ジェノバ在住、4月に18歳になった高校生。スペインで暮らすのが夢。
「高校4年の間にオーストラリアを6か月旅行しました。とても素晴らしい経験になりました。ここイタリアでは私たち若者にとって状況は厳しいです。仕事が無いと同時にいつも年金生活に入るのが遅くなります。500ユーロのイニシアチブは私の視点からすると超ポジティブです。文化ボーナスを知った時、とても興奮しました。ボーナスで本を買うつもりです、読書が大好きですから。」
(7)Nicolo Traversa(ニコロ・トラヴェルサ)トリノ在住、10月に18歳になる高校生で陸上ホッケー選手。
「間違いなく、若者たちに文化発展を推奨することは最高のことです。だけど、2つ批判があります。1つ目は、これらのお金が違う目的でもっと緊急性があることに使えたのではないかということ。難民受け入れ問題に目を向けてみてください。2つ目は、実際には質問なのだけど、このボーナスは、今年人生で初めて投票に行く人たちの票の買収につながりませんか?」
本当にテロ対策?レンツィ首相の国民投票の票集め対策だと揶揄する声も
レンツィ首相は「テロに対して文化で答える」という発言を行い、今回の「文化クーポン券ボーナス」の建前になっているようですが、実際にはreferendum=国民投票対策が本音では?という声がイタリアで広がっています。18歳の意見の中の(3)と(7)の若者の意見の中に、「なぜよりによって18歳なのか、政治がらみでは?」という意見があるように、この制度は「投票集め」の対策なのではないかとささやかれています。というのも、イタリアでは投票権は18歳からで、この秋(10月か11月頃)に憲法改正の是非を問う国民投票が行われるのです。
イタリアの新聞、Liberoquotidianoでもこのような記事が書かれています。
出典: http://www.liberoquotidiano.it/news/politica/11950715/renzi-bonus-giovani-500-euro-18app.html
「ボーナスのばらまきが完璧なタイミングではないか。10月のreferendum=国民投票に向けて、このタイミングで、初めて選挙権を持つ18歳に<お小遣い>をばらまくなんて。2014年のヨーロッパ選挙の時、レンツィ首相は彼らの両親に対して同じことをして功を奏しているし。」
記事を補足すると、2014年、ヨーロッパ選挙の時、レンツィ首相は中流・下流労働者に対して、毎月80ユーロ税金を減らす制度をつくりましたが、この制度がレンツィ首相の思惑通りという結果になり、投票40%を勝ち取ると言う稀に見る大勝利をおさめました。そうした背景があるために、今回の制度も「テロ対策、文化を愛する国民を育てるため」などというのは建前で政治がらみの大人の事情が本音のようではありますが、そんなイタリアお国事情は日本人には関係なし、18歳の日本人には恩恵を受けられる絶好の制度!
制度は9月半ば~2017年12月末までの予定
制度は9月半ばからスタート予定で実施に向けて準備が進んでいるようです。制度の有効期間は2017年12月末まで。さあ日本人の18歳の皆さん、もしイタリアへの留学を迷っているなら、2017年の留学はとてもお得ですよ。ああ、私も18歳に戻りたい・・・。
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