〜いつも当ブログ&当オンラインショップをご利用いただいている皆様へ〜
この度のイタリアにおけるコロナウィルス感染拡大において、色んな方からお気遣いやご心配の声を頂いております。皆様のお気遣いに対しまして心よりお礼申し上げます。現在のところ、私はとても元気ですし、まわりで感染した友人や知り合いもおりません。ありがたいことに運送会社も営業しておりますので、オンラインショップも通常通り営業を続けることができております。
今のフィレンツェの状況が実際にはどんな感じなのか、先日3月12日に日本のFMラジオ放送で詳しくお話しましたので、その内容をお伝えします。
JFN系列FMラジオ番組「ON THE PLANET」にて”コロナウィルス”について話しました
全国38局のFM局が加盟しているJFN系列のラジオ局番組「ON THE PLANET」というラジオ番組に10月から出演していますが3月12日は、日本でも連日のように報道されている「イタリアにおけるコロナウィルス事情」についてフィレンツェ在住者目線で話しました。聴けなかったという方にラジオで話した内容についてお伝えします。(※以下の内容は放送内容と全く同じではありません。ラジオ出演用に事前にまとめた原稿です。)

3月3日撮影。普段は多くの人が通るショッピング通りもこの通り、人がほとんどいない状態。
JFN系列ラジオ番組「ON THE PLANET」で話した、在住者目線のコロナウィルス事情
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•新型コロナウイルスはイタリアのどこで感染が広がっているのですか?
最初に感染が広がったのは北イタリアでした。イタリアの経済の中心地ミラノのあるロンバルディア州と、観光都市ベネチアのあるヴェネト州、ボローニャを州都とするエミリア・ロマーニャ州の3つの州が、まず2周間ほど前に「危険レベル1:十分注意してください」対象地域となりました。
それからあっという間に全土に広がり、各地で危険度が引き上げられ、先程の3州を含む5つの州とサンマリノ共和国が危険レベル3の「渡航中止勧告」対象地域に、それ以外のイタリア全土とバチカン市国が「危険レベル2:不要不急の渡航は止めてください」の対象地域となり、実質的にはイタリア全土が移動禁止地域となってしまいました。
• フィレンツェではどうなのでしょうか?
フィレンツェでも昨日時点(※3月11日時点)で71人の発症者が確認されていますが、北イタリアに比べると感染者数も少なく、現時点では落ち着いています。
• イタリアでは薬局と食料品店などを除いて店を閉じるようにと言われているそうですが?
ここ数日の間に感染者数が急増したことから、毎日のように勧告が変わっていましたが、今朝からそのようになってしまいました。イタリア全土で、仕事上や健康上あるいは食料品や日常品の買い物といった必要な理由以外は外出禁止となりました。また、そのような理由で外出する場合でもイタリア内務省規定の「移動に関する自己申告フォーマット」という用紙に外出理由を記載して常に携帯し、職務質問を受けたらそれを見せる必要があります。
• 他にも禁止になっている事はあるのでしょうか?
イタリアならではの挨拶、両方のほっぺたにキスをしてハグをする挨拶も禁止になりました。それはいってみれば、日本人にお辞儀をするなというような命令です。日本人にとってお辞儀は身体に染み付いた習慣なので、これを禁止されると戸惑ってしまいますが、イタリア人にハグやキスの挨拶をするなというのは、それと同じような感覚です。ですから、イタリア人たちの間では今は靴をつっつきあって挨拶するのが流行っています。
習慣といえば、日本人にとって風邪やインフルエンザが流行る時期は帰宅時の手洗い&うがいは当然の行為ですが、驚いたことにイタリア人にはその習慣がありません。もちろん料理や食事の前は手を洗いますが、風邪予防のために手洗い&うがいという発想も習慣もイタリア人にはありません。
同じくマスクについても習慣がなく、今回のコロナウィルスでもフィレンツェでマスクをつけている人はほとんどいませんでした。ですが、今回の件で政府からは「手洗いの徹底とマスク着用」が勧められました。
それから美術館や劇場、映画館なども全て営業停止となり、プライベートでも大規模なパーティーを開いたりすることも禁止されています。お葬式や結婚式もできません。とにかく生きていく上で必要な用事以外は禁止といった状態です。学校も閉鎖中です。
また、薬局やスーパーでの買い物においても、お客同士や店員との間を1メートル以上あける必要があります。レジを待つにしても、前後1メートルの間隔をあけて列をつくらなければいけません。
• 街中はどんな様子ですか?
フィレンツェは発症者数も少ないため、穏やかな状態です。日本の皆さんはどんなすごいことになっているのだろうかと思われているかもしれませんが、フィレンツェに限っては落ち着いています。外出禁止令が出る前までは、私はむしろ人がいなくなったフィレンツェの街の散歩を楽しんでいたくらいです。どこにも観光客がおらず、そもそも歩いている人がほどんといないので、列に並ぶことなく買い物を楽しんだり、むしろいつもより快適に過ごしていたくらいでした。

3月3日撮影。まだ移動制限も店舗閉鎖にもなっていない前でしたが、それでもこの通り誰もいないイノシシ像の前。普段は観光客で賑わっています。
それが一転、フィレンツェも危険レベル2に一気に引き上げられ、薬局とスーパー以外はすべて閉鎖、外出もままならないということになり、ここフィレンツェの街も観光都市というイメージは全く無くなり、すっかりゴーストタウンのようになってしまいました。街中のお店やレストラン、美術館すべてが閉まっており、街全体がシャッター通り状態です。歩いている人もほとんどいません。本当にゾンビやパニック映画のような世界で、街から人が消えてしまいました。
私が住んでいるところはポンテベッキオ近くのユネスコ世界遺産地区内なのですが、普段なら観光客がたくさん通ってにぎわやかなマンションの前の通りも今日は人っ子一人歩いていません。こんなことはイタリアに8年住んでいて初めてのことです。

3月10日撮影。18時以降飲食店の営業禁止勧告が出ていたため、全て閉鎖されゴーストタウン状態。撮影したのは19時ですが、普段は飲食店が軒を連ねアペリティーボや夕食を楽しむ人たちでにぎわう界隈。
• イタリアで今不足している物は?
イタリアで不足しているのは実はそんなにありません。消毒液とマスクはイタリアも無いのですが、それ以外については特に問題ありません。
3月11日は東日本大震災の発生した日でしたが、あの時は私は東京で地震にあい、翌日はスーパーからトイレットペーパーやレトルト食品が消えるのを体験しました。皮肉にも似たようなことを今、イタリアで体験しているのですが、イタリア人もパニック買いだめをし、店頭から消えた商品もあります。イタリア人たちは外出禁止令のすぐ後に買いだめに走るので、それから数日するとまた商品が補充されて、結果的には不足しているものはないのですが、一昨日スーパーに行ったところ、面白いことに「小麦粉などの粉類」が売り切れていました。日本ではレトルト食品やトイレットペーパーが無くなりましたが、イタリアでは「マンマ=お母さん」の手作りパスタやパンが食べられなくなることが何より困るようです・・。
• 真子さんがレギュラー出演しているフィレンツェのFM局はどのような対応を取っているのですか?
普段通りジャーナリストたちは局にも出かけて、スタジオから放送を続けています。ただ、他の一般企業では在宅ワークに切り替えたところも多いです。多くの人が家で電話対応などで仕事をこなしています。
• 今フィレンツェに住んでいて困る事は?
ありがたいことに、フィレンツェは今も穏やかで、スーパーなども通常営業しており大して困ることはないのですが、ただ自由に出歩けなくなったことは自宅軟禁状態なのでなにかと不便ですし、日常での楽しみも限られています。
ただ、今回のような非常事態だからこそ実感したことがあるのですが、私のような外国滞在者にとって日本の外務省と在イタリア日本国大使館の存在は大きいということです。在イタリア日本大使館にイタリア滞在を登録しているのですが、イタリアで何かあれば日本大使館からメールで最新情報が届きます。今回のコロナウィルスについても感染者がイタリアで見つかった時点から、こまめに詳細な情報と注意勧告が迅速に送られてきて非常に助かっています。もちろんイタリアのニュースもチェックしますが、やはり日本語で書かれた詳細な情報があると安心感が違います。
最後に、今イタリア人の間ではSNS上などで「Tutto andra’ bene」というメッセージが広がっています。Tutto andra’ beneは「すべてなんとかなるさ」といった意味で、こんな暗い時期でも、イタリア人ならではの前向きでポジティブな感情を保とうといった思いが込められているようです。
一刻も早くコロナウィルスの収束を願いたいものです。
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