JFN系列FM大阪「ON THE PLANET」にて”コロナ禍のクリスマス”について話しました
先日12月4日深夜、FM大阪(JFN系列)のOn The Planetという番組に出演して、二度目のロックダウン中のフィレンツェからコロナ禍のイタリアのクリスマスについて話しましたので、その内容をお伝えします。以下の内容は放送内容と全く同じではありません。ラジオ出演用に事前にまとめた原稿になります。
イタリアはコロナウイルスの状況はいかがですか?
今日のイタリア全土における感染者数は164万人、新規感染者数は2万人ほどなので、日本に比べるとずっと多いのですが、11月から再びロックダウンを行なっているのでピーク時よりは減ってきてはいます。これだけ増えていると、日本人からは「マスクや手の消毒はしていないのではないか」と思われるかもしれませんが、イタリアでも前回のロックダウン以降ずっと義務付けられており、今ではマスク姿以外の人を見る方が珍しく感じるくらいです。それに、これだけ多いのは前回のロックダウン時に比べて10倍ほど多くの人が検査を行なっているという背景もあります。
☆今回のロックダウンと前回の違いはありますか
今回の二度目のロックダウンでは3段階レベルの規制が儲けられ、州ごとによって異なります。前回はイタリア全土において一斉に同じ規制が行われましたが、今回は規制レベルをレッド、オレンジ、イエローと3段階に分け、特に感染拡大が深刻な州などを一番厳しい規制のレッドゾーン、感染者が少ない州などを一番ゆるい規制のイエローゾーンに指定しています。私が住むトスカーナ州は先月15日から一番厳しいレッドゾーンに指定され、24時間外出規制されていますが、前回のロックダウンに比べて警察のコントロールがほとんどなくて、ずっとゆるい規制になっています。
- ロックダウン中の街中はどのような感じなのでしょうか?
前回のロックダウンに比べると規制がゆるいため、前回のようなピリピリした緊張感はなく穏やかな雰囲気なのですが、そうはいってもレストランやほとんどのお店の営業が禁止されているため、街から再び人がいなくなり、ひっそり静まり返っています。例年はブラックフライデーのある11月最後の金曜日など街は買い物客で溢れかえりますが、今年は日用品以外のショップは閉店しているのでほとんど人がいません。
そんな状況ですが、クリスマスの雰囲気は出てきているんですか?
ロックダウン直前にショーウィンドウをクリスマスの飾り付けにしたお店もあるのですが、そんなお店も閉店しているのでクリスマスの雰囲気は例年とは比較にならないほど寂しい感じです。ただ、こんな時期だからこそと、毎年きれいなイルミネーションで飾り付けることで有名なトルナブオーニ通りには今年もイルミネーションが11月下旬から点灯され、少しはクリスマスの雰囲気は出ています。ただ、この通りは例年多くの人がイルミネーションを楽しむために訪れるのですが、今年は近所の人しか訪れることができないので、先週訪れてみたもののまばらな人出でした。それに、毎年フィレンツェではクリスマスマーケットが各地で開かれ、いっそうクリスマスムードが高まるのですが、今年は大型イベントは全て禁止されているため、それらもありません。
- クリスマスに向けてはイタリアではどのような準備をしていくのですか?
今年のイタリアは例年とは違う準備の必要性があります。ちょうど今日、クリスマスにおけるコロナ対策の規制が発表されたのですが、それによるとイタリア全土において、12月21日から1月6日までは州をまたぐ移動は禁止、さらにクリスマスの25日と翌日の祝日26日と1月1日については居住している市から出ることも禁止ということです。イタリアでは毎年クリスマスには家族が集まって盛大にランチを楽しむのですが、今年は移動制限により隣の市に出ることができないため、同じ市内に住む親族のみでのランチになります。また政府は、家には同居人以外は招かないようにと強く推奨していますが、これは罰金刑などをともなわないただの推奨に過ぎないので、おそらくさほどの効果はないと思います。
また、クリスマスをレストランで楽しむことも一般的なのですが、今年のクリスマスはランチ営業のみ可能、さらに1テーブル最高4人まででのみ食事可能という規制がついています。
そういうわけで、今年は制限付きのクリスマスになるため、例年よりランチ会を縮小する家族が増えるのではないかと思います。
イタリアではクリスマスの飾りつけはどのようにするのでしょうか?
よくアメリカやヨーロッパの映画で見かけるような、クリスマスツリーを飾り付けて、ツリーの下にプレゼントを置くというスタイルが一般的です。プレゼーペと呼ばれるキリスト生誕の様子を表したジオラマを飾るのも一般的です。日本と同じくポインセチアも飾ります。またテーブルセッティングにも、クリスマスデザインのテーブルクロスや少し豪華な食器を飾るなどし、家庭によってはテラスなどにイルミネーションを飾ったりもします。
クリスマス当日はどのように過ごすのですか?
イタリアでは家族と過ごすのが一般的です。日本でいうところのお正月をイメージしてもらえばいいと思います。イタリアのクリスマスは日本のお正月で、イタリアのお正月は日本のクリスマスといったイメージです。
クリスマスは伝統的な祝日で、伝統的な食事を家族みんなで楽しみます。私の住むトスカーナでは25日にランチ会を盛大に開き、この日にみんなが集まって食事をしプレゼント交換をします。なぜか25日のクリスマスランチの後は、映画館に行く人が多く、夕方から夜の映画の上映は大混雑でチケットが売り切れたりするほどでしたが、まだ映画館の再営業の許可が出ていないので、今年のクリスマスが家の近所をぶらぶら散歩する人が増えるのではないかと思います。
クリスマスにはどのような物を食べるのでしょうか?
日本でもお正月のお雑煮が地域によって異なるように、イタリアでも地域によって伝統的なクリスマスの食事は少し違っていたりします。私が住むトスカーナ州について話しますが、ここではトルテリーニ・イン・ブロードという料理が定番です。トルテリーニはラビオリのようなもので、トルテリーニの入ったスープのことです。また、このスープのダシをとるのにカッポーネという去勢された雄の鶏を使うのが伝統で、ダシを取った後のカッポーネもソースなどとともに食べます。
前菜やメイン料理などは自由で色々ありますが、デザートは伝統的なものがあります。日本でも有名なのはパネットーネですが、それ以外にも色々有ります。例えばパンドーロというドライフルーツなどが入っていないシンプルなシフォンケーキのようなお菓子があります。それからトスカーナでは、ricciarelli (リッチャレッリ)というアーモンドベースのビスケット、cavallucci(カヴァルッチ) というアニスやコリアンダーなどスパイスが沢山入ったビスケット、panforte (パンフォルテ)というナッツやドライフルーツが入った歯ごたえのあるお菓子も伝統的なクリスマス菓子なのですが、日本人には耳慣れないお菓子かと思います。
飲み物はどんな物がありますか?
もちろんワインが欠かせません。過去に招かれたクリスマス会では、出てくる食事にあわせて、その都度ワインを変えていた家庭もあって、そのこだわりぶりに驚きました。それからプロセッコやシャンパンなど炭酸系のワインも必ず出され、皆で乾杯します。子供はコカ・コーラやファンタなどジュースを飲んだりします。今年のクリスマスは、せめて食事くらい楽しみたいと、いつも以上に豪華なランチを楽しむ家庭が増えるかもしれませんね。
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