前回のグッビオに続き、今回はアッシジ〜スポレートの街をお伝えします。グッビオから南へ車で50分ほど進むとアッシジの街に到着しました。日本語表記ではアッシジとされますが、発音は「アッスィーズィ」に近いので、会話では少し注意が必要です。
アッシジは、中世イタリアで最も有名な聖人の一人で、フランシスコ会(フランチェスコ会)の創設者として知られる聖フランチェスコの出身地のため、世界中からキリスト教徒が巡礼に訪れる街。
世界中からキリスト教徒が巡礼に訪れるアッシジ
アッシジにはずいぶん前に訪れたことがあるのですが、印象的だったのがサン・フランチェスコ聖堂前につながるしま模様の長い石畳の広場。これらの広場が立体的に組み合わさっていて独特の雰囲気を醸し出しています。普段は世界中から観光客が押し寄せる街ですが、訪れたのはロックダウン後の7月。人も多くなく、美しいしま模様の広場がより広々感じられました。
サン・フランチェスコ聖堂は丘の斜面という立地条件を生かし、上下2層に分かれたユニークな構造をしており、入り口も別々に分かれています。残念ながら到着した時は上層部は閉まっており、下層部は行列ができていたため、翌朝見学することにして市街の散策へ。
やはりここでも新型コロナウィルスの影響で例年より多くの広場や通りにテーブルがセッティングされ、オープンエアで食事やアペリティーボを楽しむ人たちを多く見かけました。コロナの影響でオープンエアで食事を楽しめる機会が増えたことは嬉しい変化で、街も活気のある明るい雰囲気に。
ウンブリア州の名物パスタ、”靴ひも”が名前の由来「ストランゴッツィ」を堪能
サン・フランチェスコ教会近くの郷土料理を楽しめるトラットリアで、ウンブリア州のパスタStrangozzi =ストランゴッツィを夕食に選びました。それぞれの州によってご当地パスタがあるのが、いかにもパスタの国イタリアらしいのですが、ウンブリアで有名なのがこのストランゴッツィ。名前は靴ひもに由来するのですが、名前の通り見た目が靴ひものような長いパスタです。
もちもちっとしたコシのある太めのパスタは、トスカーナのご当地パスタPici(ピーチ)に似た感触で、シンプルなCacio Pepe(カチョ・ペペ)=チーズ&黒胡椒ソースでいただきました。
夜間のサン・フランチェスコ聖堂見学、ジョットの壮大な壁画に圧倒される内部
前回訪れた時はアッシジには宿泊しなかったのですが、今回はアッシジのホテルに泊まったため、夕食後、夜間のライトアップされたアッシジの街を歩くことができました。サン・フランチェスコ聖堂の前を通ると、夜間にも関わらず人通りが多かったため、近くまで行くとなんとラッキーにもたまたまその日に限って時間限定で夜間公開されていました。
イタリアでは多くの場所で内部の写真撮影が可能ですが、サン・フランチェスコ聖堂内の写真撮影は禁止されています。ですからここでは内部の様子を写真で紹介できませんが、私がこれまで数え切れないほど見てきたイタリアの教会や聖堂の中でも上位に入る素晴らしさでした。ジョットによる壁面を埋め尽くすサン・フランチェスコの生涯を描いたフレスコ画は感動的で見るものを圧倒します。1997年9月、ウンブリア州を襲った2度の大地震によってサン・フランチェスコ教会も大被害を受けましたが、すっかり修復されていました。
思いがけず、サン・フランチェスコ教会を夜間に訪れることができ、昼間とはまた違った雰囲気を味わえることができたのは幸運でした。
La Basilica di San Francesco in Assisi(アッシジのサン・フレンチェスコ聖堂)
URL http://www.sanfrancescoassisi.org/html/ita/index.php
13世紀の巨大な水道橋が現存し、長い歴史を持つスポレート
翌朝に見学しようと思っていたサン・フランチェスコ聖堂を夜間に見学することができたため、朝から次の目的地、スポレートへ向けて出発しました。アッシジから車で南下すること50分でスポレートへ到着。スポレートは長い歴史を持つ街で、古代ローマ劇場などの古代建築物も点在する街です。
特に目を引くのはPonte delle Torri(ポンテ・デッレ・トッリ)=塔の橋と呼ばれる水道橋。緑豊かなモンテルーコの山に囲まれリラックスした雰囲気の景色の中にどっしり構えているこの橋は、長さ230m高さ80mもある巨大なもので、「若きウェルテルの悩み」などで知られるドイツの詩人ゲーテが橋の美しさに感動したとされています。
もともと最初に作ったのは古代ローマ人で、現在あるものは12〜13世紀に建築されました。私は高いところが大好きなので是非とも渡ってみたかったのですが、残念ながら2016年の中部地震の影響で現在は閉鎖されています。
フィリッポ・リッピのフレスコ画が美しいサンタ・マリア・アッスンタ聖堂
スポレートは、フィリッポ・リッピゆかりの街でもあります。フィリッポ・リッピはフィレンツェ生まれでフラ・アンジェリコとともに、15世紀前半のフィレンツェ派を代表する画家。ウフィツィ美術館の目玉の「ビーナスの誕生」「プリマヴェーラ」で有名なボッティチェリの師匠でもあり、自身の作品「聖母子と二天使」などもウフィツィ美術館に収蔵されています。
フィリッポ・リッピは1467年、スポレートのドゥオモ(サンタ・マリア・アッスンタ聖堂)の壁画「聖母マリアの生涯」の制作のためスポレートへ家族で引っ越し、その2年後に壁画を完成させることなくこの街で生涯を終えました。そのため、ここサンタ・マリア・アッスンタ聖堂のフレスコ画がフィリッポ・リッピの遺作となりました。死後、フィレンツェのメディチ家最盛時の当主ロレンツォ・ディ・メディチがフィリッポ・リッピの遺体をフィレンツェへ戻してほしいとお願いしましたが、ウンブリアの人たちの反対にされ彼のお墓はこのドゥオモにあります。
彼の死後、息子のフィリッピーノ・リッピや弟子の手によって完成されたフレスコ画ですが、その壮大なスケールと美しい色使いには目を見張るものがあります。
もともとフィリッポ・リッピの絵画が大好きだったため、遺作をこの目で見ることができて感動もひとしおだったスポレート。古代劇場やアルボルノツィアーナ城など他にも見どころがあります。この後、スポレートを去り、古代ローマ人が作った巨大な「あるもの」を求めて、今回の旅の最後の目的地へと向かいました。さて、その「あるもの」とは?次回もどうぞお楽しみに。
Duomo di Spoleto(スポレートのドゥオモ)
URL https://www.duomospoleto.it/
<連載「二度目のイタリア、次に行くならこんな街」まだまだ知らないイタリアの魅力を紹介!>
Vol.1 映画の舞台にもなったコルトーナ
Vol.2紀元前300年の青銅版に偉大な歴史を感じる街グッビオ
この内容はSHOP ITALIAサイトに掲載されたものです→
【二度目のイタリア、次に行くならこんな街Vol.3、聖堂内の美しさに引き込まれるアッシジとスポレート】
◆「あがるイタリア」&「SHOP ITALIA」のでコラム連載しています。過去の記事もこちらからどうぞ♪
コラム一覧はこちら→ https://shop-italia.jp/author/mako-kobayashi
増田治美 says
いつも、ブログを拝見しています。昨年、塔の橋が見たくて、渡りたくて、スポレートにいきました。が、残念ながら渡れず、でも見るだけでも、行った甲斐がありました。まるで、路線バスのように、途中下車?できる長いエスカレーターも、楽しかったです。サンタ・マリア・アッスンタ聖堂のフレスコ画、色鮮やかなフレスコ画、首が痛くなる程、見入ってしまいました。またいつか、訪れたいと思っています。素敵なお写真を拝見でき、嬉しかったです。ありがとうございました。ps.購入したリュック、活用させていただいてます。
Mako says
増田様、コメントありがとうございます!リュックご愛用頂いていると伺ってとても嬉しいです。スポレートいらっしゃったんですね、フィリッポ・リッピのフレスコ画はまるで最近完成したかのような鮮やかさで素晴らしいですよね!これからもイタリアの素敵な街を紹介して参りますので今後も当ブログを宜しくお願いいたします(^^)