ミラノ万博、明日で閉幕
これまでにアップした、ミラノ万博関係のブログポスト「話題沸騰!ミラノ万博の日本館、あまりの人気にイタリアンジョークも。」と「今週の「週刊新潮」はミラノ万博特集!日本館9時間待ちの謎に迫っています!」は大変多くの方に読んで頂きました。ありがとうございます!
今年5月に開幕したミラノ万博もいよいよ明日までとなりました。イタリア人は間際にならないと行動しないのか?!閉幕が近づくにつれて駆け込み入場者が連日増えて、イタリアでも毎日話題になりました。さて、私のブログでも今回がミラノ万博、最終回です。他の国のパビリオンを見たからこそ、新たに気づいた日本館の良さについて書きたいと思います。
こちらも大人気、ドイツ館
「話題沸騰!ミラノ万博の日本館、あまりの人気にイタリアンジョークも。」でも少し触れましたが、ドイツ館も日本館同様に細部まできちんと丁寧に作り込んだ最大規模のパビリオンながら、しっかり開幕に間に合わせて完成させた優等生組。その人気のほどは日本館とまではいきませんが、ミラノ万博人気パビリオンの上位に入っています。
「万博の王道!」「これぞ、万博!」という内容のドイツ館。最初から「万博に来た~」と実感できる、展示スタイル。ミラノ万博のテーマ「食」に合わせて、食と食にまつわる問題や環境をそれはそれは真面目に展示しています。
ただ展示を見るだけではなく、来館者が実際に「体験」もできる工夫もされています。入館者には二つ折りのミニ色紙のような、内面が白い紙、表紙が凸凹のある紙でできたものが配られるのですが、この白い紙の面をいくつかのチェックポイントでかざすと、上の写真のように写真や情報を取り込める仕組みになっています。
この色紙、テクノロジーが駆使された画期的なシステムが使われています。色紙の上についている丸いシールの位置によって、異なる言語の情報を取り込むことができるんです。入館者は最初に使用言語を選ぶのですが、イタリア語、英語、ドイツ語と選ぶ言語によって、この丸いシールの位置が異なり、イタリア語を識別する色紙にはイタリア語で情報が表示されます。テクノロジーポイントもちゃんと踏まえているドイツ館、万博の王道スタイルを突き進みます。
いくつかの展示室に分けて、「食」に関する真面目な展示が続きます。さすがドイツ、どこもかしこも丁寧な説明が施され、きれいにきっちり作り込んでいます。
二階には、野菜などの展示と最後のショーが行われるシアターがあります。この二階では、会期中24時間体制・泊まり込みで植物をケアするスタッフがいるとドイツ館の広報さんから伺いました。その努力のたまものなのか、5月から始まったミラノ万博ですが、この展示植物は青々として元気なままでした。どこまでも優等生なドイツ館です。
最後のショーでは感じのいいドイツ人ミュージシャンによる音楽ショー。ここで使われるのが最初に説明した、入館者に配られる色紙。この凹凸のある表紙の方を使うのですが、これをこすってジャラジャラという音を出して、みんなで音楽を奏でるというスタイルになっています。こちらもただ見るだけでなく、来館者が参加できるスタイル。最後はみんなで一つのショーを作り上げて終了という、爽やかな気持ちになって後を去ることのできるドイツ館でした。
ドイツ館を見てわかった日本館の良さ
さすが、例年万博で人気上位に入るドイツ館。計画を練り上げて丁寧に作られたパビリオンであることがよくわかりましたし、人気があるのも納得だと思いました。ただ、ドイツ館を見たことで日本館の良さに気づくことができました。それは二つあります。
一つ目は、ドイツ館には「あれ?!」という驚きが少々足りなく、日本館には思わず「わあ、これなに?!」という驚きがあることです。ドイツ館は最初から最後まで明るい展示室が続き、その展示の仕方があまりに真面目で少々優等生過ぎるように思いました。一方の日本館、最初のプロローグから周りが見えない真っ暗の部屋で「何が始まるの?」というワクワクした驚きから始まります。そして第一展示室でも同様に真っ暗い部屋に、突然浮かび上がる光のショー。明るい展示室にいたるまでに、様々な仕掛けがあり、その都度、驚きがあります。盛りだくさんの驚きと工夫がちりばめられているので、リピーターが多かったのも納得。私ももう一度見たくなるパビリオンだと思いました。
二つ目は、一般的な「食」の問題ではなく、全てにおいて日本独特の文化を上手に絡めていること。ドイツ館では、ドイツ人が普段食べている食やドイツ独特の文化などが触れられておらず、一般的な「食」に関することとしては上出来なのですが、肝心のドイツ文化をあまり紹介していません。「世界の食問題」としてワールドワイドの問題提起をしているのはさすが世界有数の優等生国ドイツで、こんなに上手に器用にパビリオンを作ることができるというPRにはなっていますが、ドイツそのものの文化や個性をあまりうまく表現していなかったような気がします。一方の日本館はこれでもかというくらい日本食を紹介し、パビリオンを見た人たちを、「ああ、日本に行ってみたくなった!」「日本食が食べてみたくなった!」という気持ちにさせることができていたと思います。日本館とドイツ館を見た人たちが、その後実際に訪れたくなった国はどちらかというと、日本に軍配が上がる気がします。そのくらい、日本は万博という機会を使って、母国をうまくPRしていたと思います。
他の国のパビリオンはこんな感じ
最後に他の国のパビリオンを写真でご紹介します。残念ながらあまりの混雑ぶりに歩くのさままならず、どこもかしこも行列だらけでどこがメディア優先入り口かさえわからず、中に入ることはできませんでしたので、外観のみのご紹介です。
開催国イタリア館は最大規模。ど迫力の大きな白い建物です。中を訪れた日本人に聞いた話では、大きな鏡張りの部屋にイタリアの景色を映し出す映像が流れ、自分がその映像の中にいるような気分になるとのことでした。
どこからでも目を引いたのがマレーシアのパビリオン。とてもユニークなデザインで印象に残りました。
シンプルな四角い建物ながら、ド派手なカラーで圧倒的に目立っていたエクアドル。
アゼルバイジャンのパビリオン。こちらもまた大きな球体が日本のフジテレビのようで、とても目立っていました。
ベトナムはオシャレなレストランのエントランスといった雰囲気の構え。
イタリアの食文化を伝え、ワインやチーズを販売するパビリオンでは、チーズ・アートを見かけました。食べるのがもったいないほど美しい仕上がり。見たことの無いイタリア食をもっと見たかったのですが、人の多さに商品展示も埋もれて見えにくい状態でした・・。
なにか軽く食べたいと思っても・・・この人だかり。10月のミラノ万博は、「パビリオン」を見てきたというよりも、「人だかり」を見てきたという印象です。
世界各国の料理を楽しめるのも万博の楽しみの一つ・・・でしたが、あまりの人の多さにあちこちで軽く少しづつという食べ方をすることができませんでした。ですがせっかくの機会、フィレンツェでは食べられない料理を・・と探したところ、韓国パビリオンの韓国料理レストランを発見。韓国人も食事していたのと、とても美味しそうだったのでここでディナーを頂きました。レストランの名前は忘れてしまったのですが、東京・赤坂に支店もある韓国料理のチェーン店のようで、スンドゥブチゲやチャプチェ、韓国風甘辛から揚げなど、どれもこれもとても美味しかったです。
2日間に渡って取材協力で訪れたミラノ万博。「人の多さに圧倒された」「日本館の人気ぶりに感動」のふたつが印象に残りました。イタリア国内でも万博の是非を問う声が上がり、万博反対派も多くいます。インターネットで世界がつながっている中で、今更万博を開く意義はあるのか、など様々な意見もあります。万博による弊害などもあるかもしれません。それでもこうやって世界中がひとつになってひとつのイベントを作り上げるというのは、それはそれで意義のあることのようにも思いました。そして、前回の繰り返しになりますが、こうした世界各国が集まる機会に、その存在感を大いにアピールできた日本館は素晴らしかったと思います。
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